日産がシーマ、フーガ、スカイラインHEVの生産を終了することが発覚した(スカイラインのガソリン車は引き続き生産&販売される)。
これらのモデルが生産終了を迎えるのは騒音規制が今年9月1日から継続生産車にも適用されるためで、8月末までに相次いで生産が終わる。
またまた商品が減ってしまう国内の販売現場に対し、メーカーはどんな説明を行っているのか。日産の営業マンに話を聞くことができた。
メーカーからの説明によると、過去10年でSUV市場が拡大してきた反面、セダンの販売台数は減り続けていて直近では新車販売の5%まで減少してしまった。
国内での販売推移を見ると、シーマとフーガは合わせて年間7500台(2011年)から900台(2020年)に、スカイラインも9500台(2014年)から3500台(2020年)に減った。保有台数はシーマ&フーガが8万4000台(2011年)から3万5000台(2020年)に、スカイラインは9万6000台(2011年)から5万7000台(2020年)に減少。
では、今後ユーザーにどのような提案を行っていくのか。メーカーとしてはBEVのアリアを一番の候補として売り込みたい考えだ。ただし、アリアではニーズにマッチしない法人ユーザーやショーファー需要にはエルグランドVIPを、どうしてもセダンが欲しいというユーザーにはスカイラインのガソリン車を売っていく。メーカーの説明では、アリアの下取り車のうち23%がセダンなので、セダン所有者を吸引できるチャンスは十分にあると見ている。
また、ダウンサイジングを検討するユーザーにはノートオーラを薦める戦略が準備されている。オーラの下取り車のうちダウンサイザーは43%で、そのうちセダンは17%。
ちなみにエルグランドVIPには2列シート4人乗りが設定されており、専用キャプテンシートによる最上の移動空間がセールスポイントに掲げられている。
話を聞いた営業マンは「トヨタのように商品数が多ければ、いろんな選択肢を薦めることもできるが、当社は減るばかり。エクストレイルはモデルチェンジが遅れており、ルークスは生産停止中。追い討ちをかけるように商品が減ってしまうとは…。たとえ販売台数が少なくても、商品を取り揃えておけば商機を逃すケースは減る」と表情を曇らせる。
伊藤かずえさん所有のシーマをレストアして話題を振りまいたのは大いに結構だが、その矢先にシーマは2度目のブランド廃止を迎えてしまう(1度目は2010年で、2012年に現行モデルとして復活した)。フーガは2004年にセド/グロ後継車として登場したが、こちらも18年間のモデルライフにピリオドを打たれる。その結果、2004年にSHIFT_6車(ムラーノ、フーガ、ティーダ、ティーダラティオ、ラフェスタ、ノート)として国内投入されたブランドのうち、残るのはノートだけだ。