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【シボレー・コルベットE-Ray】
誰でも乗れるMRスポーツ
MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)になった8代目コルベットにHEV(ハイブリッド・エレクトリック・ビークル=ハイブリッド車)が登場した。後輪は従来どおり大排気量ICE(内燃機関)で駆動し、前輪は電動モーターとLIB(リチウムイオン電池)で駆動する。フェラーリも同様のHEVを発表したが、このようなスーパースポーツの世界にもCO2排出抑制という波が押し寄せた結果だ。とはいえ、コルベット初のAWD(オール・ホイール・ドライブ=4WD)であり、燃費のメリットも確かにある。「よくできたMRスポーツカー」と本誌評価陣はコメントした。
米国CAFEの恩恵
エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) シボレー・コルベットのHEV「E-Ray」だ。MRになった8代目コルベットは3年前にこの評価会議で取り上げているが、前輪を電動駆動するHEVは非常に興味があったので試乗車を調達してもらった。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) みなさんに乗ってもらったE-Rayはウチのお客さんのクルマで、納車前の慣らし運転を1000㎞ほど依頼された。調べたら車両価格は2350万円だが、それ以外に何かオプションをオーダーしたのかどうかは分からない。いずれにしても普通のクルマ選びの対象ではない。
元部品メーカーのエンジニア(以下=部) すごいなと思うのは、GM(ゼネラルモーターズ)がコルベットに開発予算をきちんと振り向けている点です。アメリカ市場がメインですから、FMVSS(連邦自動車安全基準)をすべて満たさなければならず、衝突安全性能試験も当然義務付けられます。8代目がミッドシップになった理由はGTレースを戦うためだったと世の中では言われていますが、GMは昔からミッドシップ・コルベットの構想を持っていたと聞いています。お手軽なコンパクトスポーツでは、ポンティアック・フィエロというミッドシップカーを1984年に発売しています。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) 以前、我われが試乗した8代目コルベットの「LT3」は、車両重量1700㎏だったが、今回のE-Rayは1810㎏。電動モーターとLIBの追加で110㎏重たくなった。この手のMRスポーツは軽さが重要だが、世の中の高級BEV(バッテリー電気自動車)はいまや2.5トン以上だから、1.7トンでも軽く思えてしまう。フェラーリF80もHEVとしてデビューしたが、欧州のCO2規制がある手前、ICEは3リッターという普通の乗用車並みのV6エンジンに、前後軸それぞれの小型軽量電動モーター、LIBは2.28kWhというパワートレインで車両重量を1525㎏に収めた。
自動車業界の事情通(以下=通) アメリカのCAFE(企業別平均燃費)は「結果オーライ」のシステムだから、GMはフェラーリとは違うアプローチを採った。EU(欧州連合)のCO2規制もCAFEであり、車種ごとのCO2排出量×販売台数の計算で全販売台数を合計し、それを販売台数で割って1台平均を求める。2025年から93.6グラム/㎞が平均値だが、そもそもこの93.6グラムが厳しい。
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