2025年7月号『ざ・総括。』の記事【日本車の生き残り策】がnoteから購入できるようになりました

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【日本車の生き残り策】

トランプ関税を吹っ飛ばせ! 日本車が世界で生き残る策はコレだ!

トヨタは2026年3月期連結決算の予想を「最終利益が前期比で34.9%減になる」と語った。アメリカが課す完成車と部品への25%関税の影響は暫定的に1800億円と見込んだが、6月以降の分は反映されていない。日本車にとっての不安要素は米・トランプ政権が発動した関税だけでなく、中国OEM(自動車メーカー)の台頭やEU(欧州連合)が目指す2035年の「完全ZEV(ゼロ・エミッション・ビークル=無排出ガス車)化」など、さまざまだ。かつては世界販売台数の27%を占めていた日本車だが、これから先も世界で売れ続けるだろうか?

厄介な中国の補助金

エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 世の中はトランプ関税の話題で持ちきりだが、その矛先は日本でもEU(欧州連合)加盟国でもなく、本命は中国だ。米国と中国の対立は、ある意味で超大国同士の宿命だ。ロシアが弱体化し、そのスキを突いて中国が出てきたが、2017年の第1次トランプ政権で米中経済戦争が起きた。当時の中国には「いずれ米国を超える」という自信があったが、そこをトランプ政権が阻止した。結局、中国は不動産・建築業界が崩れて7年後に国内経済は落ち込んだ。

部品メーカーのエンジニア(以下=部) すばらしく経済評論家的考察ですね(笑)。米中の対立は、早い話が「どっちが世界の親分か」という話だと思います。

 本誌の元編集長M氏の受け売りだよ。資料もたくさんもらった。いまや中国も自動車産業への依存度が高まったから、景気対策として中国政府はBEV(バッテリー電気自動車)への買い替え策を展開して国内販売だけは維持したが、生産過剰というこの国の体質は如何ともしがたく、国内在庫を処分するために輸出攻勢に出た。その影響でASEAN(東南アジア諸国連合)での日本車のシェアが少々落ちた。トランプ関税の行方によっては米国内の販売も影響を受けるだろう。問題はその先だ。果たして日本車の世界販売はどうなるのか。これをテーマに話をしたいと思う。我われは経済評論家ではなく自動車の開発に携わってきた身だから、あくまで中心は「クルマ」という商品にしたい。ゲストに技術調査のベテランF氏と、某総合商社の商社マンFさんに来ていただいた。おふたりともイニシャルがFなので、商社マンさんは誌面では「商」と表記する。

 まずASEANですが、中国製BEVが安売りを展開して市場を掻き回しました。日経新聞は「日本車帝国の崩壊」のように伝えていますが、果たして中国のOEM(自動車メーカー)が真面目に販売網を構築し、スタッフを教育し、地道に販売活動を行うのでしょうか?

某総合商社の商社マン(以下=商) ASEANでの日本車の販売網は、中国勢や欧州勢よりもはるかにしっかりしています。そこは日本の総合商社が過去に仕事をしてきた結果です。三菱商事、三井物産、丸紅などが自動車販売網の構築や現地での資金調達、現地企業と日系OEMとの橋渡しなどを行ってきました。要は信頼関係です。すでに中国勢はいろいろと問題を起こしています。品質が均一でないとか、クレーム対応が悪いとか、修理部品が届かないとか、ごく初歩的なところで不評です。そう簡単に日本勢がASEANでの地位を失うとは思えません。ただし、中国OEMの2〜3社は足場を固めるだろうと思います。上海汽車、長城汽車、BYDオートあたりです。

チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) M氏の資料を見ると、BEVとPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)を製造する中国の新興OEMのうち、黒字なのはBYDオートと理想汽車だけだな。ほかはどこも赤字だ。

自動車業界の事情通(以下=通) 赤字でもやっていけるのは、資金を提供する投資家がいるからで、中国は民営系OEMにも国や地方自治体系の投資会社が出資している例が多い。だから潰れない。これがものすごく厄介で、たとえば2023年からタイでBEVを売りまくっている哪吒汽車は設立以来赤字続きだが、親会社が資金提供している。その親会社には地方政府が出資している。

ベテラン実験ドライバー(以下=T) 資金がショートしたら最後は北京の中央政府に泣きつくのだろうか。中国政府は情け容赦なく企業を潰して好調な企業に買収させ、生産設備は無駄にしないと聞いた。赤字のBEV専業OEMでも、タイに工場と販売ネットワークを作りたいとなれば資金は出てくるわけだな。

技術調査のベテラン(以下=F) 中国政府の補助金は実に厄介なのですよ。タイには上海汽車、長城汽車、BYDオート、哪吒汽車がKD(ノックダウン)の組み立て工場を持っています。いまのところは中国からすべての部品を運んできて、タイでは組み立てだけを行うというKD方式ですが、本気でタイ市場に食い込みたいと考えれば、現地での部品調達が必要になります。タイ現地でサプライヤー(部品メーカー)を開拓しなければなりません。そのとき中国政府が資金提供すれば、おそらくタイ資本のサプライヤーは話に乗るでしょう。

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