ネッツトヨタ愛知による継続車検不正に トヨタ自動車、「ペナルティ課す考えない」

スポンサーリンク

ネッツトヨタ愛知による継続車検不正に

トヨタ自動車、「ペナルティ課す考えない」

 

ネッツトヨタ愛知(平光順二社長・名古屋市昭和区)の豊橋市の拠点が、2018年12月から2021年1月にかけて延べ5158台の継続検査で道路運送車両法違反を犯していた事件。「検査と整備を分けていなかった」「検査項目を不正に省略していた」などで、従事した検査員7人の資格剥奪、拠点における指定工場資格剥奪(2年)を国から課された。

本件についてネッツトヨタ愛知と特約店契約を結ぶトヨタ自動車広報部にコメントを求めた。以下だ。

<ネッツトヨタ愛知にペナルティを課す可能性について>
・トヨタ販売店ネッツトヨタ愛知(株)が、お客様からお預かりした大切な愛車に対して、不適切な作業を行っていたことを大変遺憾に思っております。
・トヨタ自動車といたましては、再発防止の徹底のために、ネッツトヨタ愛知(株)の改善サポートに尽力することが大事だと考えております。
・再発防止が最優先であり、販売店に対するペナルティ等を課すことは考えておりません。
<45分車検について>
・本車検は、従来お預かりして実施していた車検整備について、作業のムダを排除し、正確かつ漏れのない点検整備を行うためのオペレーションを目指したもので、販売店に無理な作業を強いるためのものではないと考えております。
・ただし、車両の状態、作業内容によっては、45分を超える場合もある為、販売店ごとに追加作業が無い、標準作業としての目安の時間を設けて作業に取り組んでいただくようにお伝えしております。
・トヨタとしては、お客様の愛車に対して適切な作業を実施することが最優先であり、その作業を行う販売店にとっても、無理のない運営となるよう、引き続き現場の声を聞きながらサポートしてまいりたいと思います。

https://www.netzaichi.co.jp/pressrelease_202103

組織的不正の可能性は!?

特約店契約違反が疑われるが、「ペナルティを課す考えはない」「現場に無理のない運営となるようサポートする」とした。この事件についてネッツトヨタ愛知は「現場検査員の判断でやったこと」の趣旨の釈明をしている。が、本当にそうだろうか。

ある整備業を営むベテランメカニックは語る。「短時間車検は3~4人で作業するようです。凄い人数が必要ですね。しかし、点検途中に修理の必要が生じたら部品手配などを含めて時間内に整備することは難しいと思います。リフトアップしながらエンジンは触れません。通常なら、よほど程度の良い物でも3時間はかかると思います。「短時間車検は作業しながら検査する」と言いますが、車両法に抵触しない形で継続的に品質を保ちながら、短時間車検を実施するのは至難の技だと思います」と話す。

厳しく対処する

国交省自動車局整備課と話した。「一部検査未実施5000台については早急に再検査を実施してもらう。本件は安全安心の根幹を揺るがすもので極めて遺憾。保安基準不適合車が道路上を走っている状況があってはならない。今後とも不正に対しては厳しく対応していく」とした。

一般的に考えて、こうした不正が本当に個人の判断で行われていたのか。組織的な不正の可能性はないのか。さらなる調査が必要だろう。すべては書けないが、マガジンX編集部にはいくつかの現場の生の声が寄せられている。当局もこれで幕引きとは考えていないようだ。

5000台を超える再検査には膨大な人とコストがかかる。これだけでもネッツトヨタ 愛知の屋台骨を揺るがす事態だろう。「組織的、継続的に行われていたとしたら、行政罰に加えて刑事責任を問われる可能性もある」(事情通)。事件はまだ終わっていない。取材続行中。

取材・文/神領 貢(マガジンX編集長)

 

 

スポンサーリンク