JDIがB to Cに参入。HUD搭載スマートヘルメットを開発

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JDI(ジャパンディスプレイ)は8月1日、「JDI Future Trip〜First 100 Days」と題した事業戦略発表会を開催した。

JDIと言えば2012年に産業革新機構の主導でソニー、東芝、日立のディスプレイ部門を統合して作られた、小型液晶ディスプレイでは世界トップシェアを誇る企業であり、政府系ファンドもかかわっていることから、まさに「日の丸液晶」というべきディスプレイメーカーだ。

スマートフォン、ウェアラブルなどのディスプレイが世界シェアNo.1の実績を持つ主力である一方で、車載ディスプレイにおいても20%を占め、とくにHUD(ヘッドアップディスプレイ)では58%と世界トップシェアを誇っている。今回の発表会では、この技術を応用した製品としてHUD搭載スマートヘルメット「スパルタ(コンセプト名)」を披露した。

オートバイやモータースポーツ等では、スピードメーターなどを確認する際に視線移動が必要となるが、このスパルタはヘルメットの中に小型化したHUD機能を組み込んでいるため、視線移動することなく情報の確認できて安全性の向上につながる。また車両以外にも、例えば建設現場や警備、ウインタースポーツやサバイバルゲームなど、さまざまな用途での活用や楽しみ方にも期待ができる。使い方としてはスマートフォンを介した通信によって情報を表示させる方法を検討しており、2019年の実用化を目指している。

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なお今回の発表会では、このHUDとは方式は異なるが、高透過の透明カラーディスプレイをヘルメットに装着したものでの走行実験を、スーパーフォーミュラに参戦するダンディライアンレーシングと共同で7月に実施している。これは従来の液晶ディスプレイの中にあるカラーフィルターと偏光板を取り除くことで透過率80%を実現した透明ディスプレイをヘルメットのシールドに重ねて装着したもので、レースでの実装を想定して視界内に情報を表示させるテスト走行を富士スピードウェイにて行った。走行テストを行った野尻智紀選手によると、見た目ほどには視界をさまたげることもなく、いろいろな情報を瞬時に確認したいレーサーにとっては助かるアイテムだと語っていた。

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JDIは今年で創業6年目となるが、日本の家電メーカー6 社による統合企業として世界に誇れるたくさんの技術や経営資源を持っているものの、まだ納得がいくだけの利益が出せていないことや、中国や韓国などが国策として日本の10〜16倍規模の投資が行われているグローバル競争のなかでいかに対応していくべきかなど、経営課題が山積している。そこで今年4月、社内公募を行って「第二の創業」とも言うべきスピード改革を推進する組織を発足。これまでのB to B主体の経営から、今後はB to C向けの製品にも乗り出していくことになったのである。

4月からのわずか3カ月ほどの期間(First 100 Days)で、先のスマートヘルメット以外にも、鏡がディスプレイに変化して後ろ姿の確認も可能な「遅れ鏡」機能を搭載したミラーや室内ドア、3D専用メガネを使わずに立体感のある3D動画視聴が可能な5.5型ディスプレイなど、さまざまなコンセプトモデルを開発して会場で披露していた。次回は「Next Future Trip」として12月に同様の発表会を行う予定のようだ。

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JDI公式サイト www.j-display.com

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