2024年11月号『ざ・総括。』トヨタGRヤリス/カローラの記事がnoteから購入できるようになりました

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マガジンX 2024年11月号(9月26日発売)に掲載された『ざ・総括。』トヨタGRヤリス/カローラの記事をnoteにて税込300円で購入できるようになりました。以下は無料公開の冒頭部分です。続きを読みたい方はその下のリンクからご購入ください。

【トヨタGRヤリス/カローラ】

好きにすればいいのに…

2020年9月にデビューしたGRヤリス。トヨタは「モータースポーツ用の車両を市販するという逆転の発想で開発した」と謳っている。続いて2023年1月にはGRカローラの初回抽選結果が発表された。いずれも申し込みによる抽選販売であり、500万円級モデルながら必ず毎回完売。これによって、この手のクルマに飢えている層が確実にいることが証明された。本誌評価陣は、抽選に当選したオーナーの協力を得て試乗した。

乗ってきた「時間」の違い

エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 今回は3年半前に試乗したGRヤリスの改良版と、我われも初めて試乗するGRカローラの2台だ。GR(=ガズーレーシング)という組織はトヨタの社内カンパニーであり、活動領域は主にモータースポーツだ。そのGRが「公道を走れる高性能車」、いわゆるOEM(自動車メーカー)公認チューニングカーを販売している。今回取り上げる2台は、当初はどちらも抽選申込の限定生産車だったが、GRヤリスは現在カタログモデルとして通常販売されている。もちろん2台ともナンバーを取得できる。

チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) みなさんに乗ってもらったGRヤリスはウチのお客さんのクルマで、8速ステップAT「GR‐DAT」搭載の「RZ」グレード。車両価格483万円。タイヤはミシュラン・パイロットスポーツS4で、登録は今年だ。もう1台は昨年発売されたGRカローラ「RZ」の6MT仕様。車両価格525万円。タイヤはヨコハマ・アドバンAPEX V601。こちらは某開発会社の持ち物で、すでにかなりテストされていた。

自動車業界の事情通(以下=通) 日本のOEMは昔からモータースポーツを隅っこに追いやって、「若者がかかる麻疹(はしか)」くらいの扱いだった。ホンダのF1くらいじゃないのかな、会社として運営して、PRとリクルートに徹底利用したのは。昔の日産のサファリラリーや、そのあとの三菱自動車とスバルのWRC(世界ラリー選手権)参戦でさえ、ほぼ「1事業部」の扱いだった。会社としての利益が上がらなくなるとすぐにトカゲの尻尾切りにあう。

部品メーカーのエンジニア(以下=部) 自動車を作っている会社としての責任分野を考えてこなかったですからね。欧州のOEMやサプライヤーでは、幹部のモータースポーツ参画はいわば必須項目です。ところがBEV(バッテリー電気自動車)とソフトウェアの時代になってそこが変わってきました。現在はどの会社でもほぼCFO(最高財務責任者)がモータースポーツ活動と高性能車の少量生産を否定します。

ベテラン実験ドライバー(以下=T) その中で世界最大手のトヨタは、当時の豊田章男社長がカーガイだったからGRもやったし、WRCにも参画して日本にWRC戦の招致も実現した。1985年ごろに元・本誌編集長のM氏は、「群馬にWRCを呼ぼう」という首相経験者の自民党大物議員を担ぎ上げたプロジェクトにかかわっていた。オレは彼とはそのころからの付き合いだが、いかに日本の自動車産業の規模が大きくなろうとも、当時はまだWRCやF1の世界では日本は新参者だった。欧米の老舗OEMに比べて歴史は半分以下だったからね。

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