ポストTOKYO2020の都心と湾岸エリアをつなぐレインボーカラーの東京BRT

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東京BRT

ポストTOKYO2020の都心と湾岸エリアをつなぐレインボーカラーの東京BRT

 

一年遅れとなった東京オリパラリンピック(TOKYO2020)の観客輸送も視野に、昨年(2020年)10月に運行開始した「東京BRT」(BRT=バス・ラピッド・トランジットの略)。オリパラ競技は残念ながら“無観客開催”となり、連節バス輸送のメリットが発揮されなかったが、発展を続ける湾岸エリアの再開発案件は依然継続中で、日ごとに高層住宅や商業関連施設などが充実するに伴い、利用者増加と運行ルート沿いの賑わいも増えることが期待されている。東京BRTの運行ルートは港区の虎ノ門ヒルズ・ビジネスタワーから新橋・汐留を経て、隅田川を渡って東京オリパラリンピックの選手村にもなったマンション群の“晴海フラッグ”近くの、晴海BRTターミナル(暫定)までの約5kmを結ぶ。

横浜と神戸の連節バス運行と異なるのは、同じルートで単車ベースの燃料電池バス(トヨタSORA)とハイブリッド連節バス(いすゞ・エルガデュオ)が混合運行されること。実は虎ノ門ターミナルと周辺道路事情もあり、連節バスは新橋・汐留と晴海間を中心とした運行になっている。今後は地下鉄大江戸線・勝どき駅近くの勝どきBRT停留所から、新虎通りで知られる環状二号線を直進する「幹線ルート」。さらに新交通システムゆりかもめや地下鉄有楽町線の豊洲駅前を経由して豊洲市場へ至る「晴海・豊洲ルート」が開設され、将来的には展示会場で知られる「東京ビッグサイト」や、2020年に開業するもコロナ禍でクルーズ客船の入港がない「東京国際クルーズターミナル」方面に延長される可能性もある。

東京BRTの所管は東京都都市整備局の都市基盤部であるが、実際の運行は京成バス(株)が担う。同社はすでに千葉市新都心の幕張メッセやJR京葉線・海浜幕張駅周辺でメルセデスベンツ製の連節バスを運行しており、東京BRTの運行も担っている。都内では東京のイメージカラーである銀杏の葉を都営バスの外装色として用いられているが、再開発などで街並みの深化を遂げる都心部や発展著しい湾岸エリアを走行する連節バスにて、既存の都営バスとは異なる車体内外のカラー設定となった。

デザインコンセプト

 

GKデザイングループによる東京BRTのデザイン展開は連節バス車両の採用をはじめ、停留所デザインやルート図、サインなど利用者が接する全ての要素について一貫したコンセプトと具体的展開を行うことで、国際都市東京らしさを表現した統一性のあるイメージを創り出し、かつこれらの機能や魅力をさらに高めるための「トータルデザイン」を採用している。

デザイン展開

(バス外観部)

外観は全長18mの長さをいかした東京の基幹公共交通としてのシンボル性と、子供から高齢者や子供から高齢者や車いす利用者にも優しく安全に移動してもらうために、乗降しやすい3つのドア位置を黒のダイナミックなラインでつないで車体の先進性を表現している。さらに運行ルートの多様な街並みや色合いを採り込んだレインボーカラーのラインを配し、観光バスの雰囲気を醸しだしている。

この外観のレインボーカラーを設定する際には複数のデザインアイデアを都民アンケートを経て決定されたもので、移動体としての躍動感や地域をつなぎ賑わいを創出することを表現している。また低床ボデーの実現と連節バスならではの旋回時の連節部変化(蛇腹部分の伸縮)も合わせ、単車バスとは異なる流麗感と存在感を実現している。

 

(バス車内部)

バスの車内は最後部の座席を除いて、フルフラットの床面を実現している。さらに床や窓枠、天井などは日常生活の質を高めるような温かみのある木調表現のデザイン展開で車内空間を実現するとともに、“江戸東京”の伝統美を感じさせる江戸紫の小紋やTOKYO  BRTのロゴ刺繍を座席表皮に盛り込むことや、安全・安心のアップグレードとなる優先エリアの設定も充実している。

 

(停留所の展開)

「トータルデザイン」を基本にした東京BRTではバス車両のグラフィックデザインのみならず、停留所においても利用者の“視認性や安全性”に配慮したデザイン展開を実施している。

具体的には、はじめての利用者にも配慮したBRTの頭文字の「B」サインの表記や路線図の設置。晴海BRTターミナル(暫定)では車いす利用者はじめ、あらゆる乗客対応が可能なバリアフリー対応(バス乗降口と停留所との段差解消)の乗降場を試験的に設置している。

このように東京BRTではバス本体のみならず、運行エリアの幅広い利用者にとって移動のし易さと周囲からでも停留所位置を確認できる

トータルデザインの効果と運行を、今後も目指していくとのこと。

 

 

GKデザイングループについて

今回東京BRTはじめ、横浜Bayside Blueと神戸Port Loopの車体内外装のデザイン関係を手掛けたのが、国内の公共交通事業体はじめ空間デザイン領域などのトータルデザインプロジェクトを手掛ける「GKデザイングループ」。その代表と総括的な役割を担うのが、東京豊島区に拠点を置く(株)GKデザイン機構(田中一雄代表取締役社長)。

グループ各社では永く親しまれている醤油差しから、2022年の開通を目指す宇都宮ライトレールや旧国鉄線路を利用した富山ライトレール(2006年開通し、その年にグッドデザイン金賞を受賞)のトータルデザインも手掛ける。さらには日本航空のシートデザインやJR東日本の車両デザイン。そしてヤマハ発動機のオートバイやスノーモービルに加え船舶デザインに至る、陸海空分野の幅広いデザインワークを手掛けている。

GKデザイングループを構成する以下の各社では、それぞれの特色と得意業務をいかしながら、依頼主の対応に当たっている。具体的にはGKインダストリアルデザイン/GK設計/GKグラフィックス/GKダイナミックス/GKテック/GK京都/GKデザイン総研広島の国内拠点に加え、米国とオランダ、中国にデザインオフィスを構える。(http://www.gk-design.co.jp/

 

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