豊田章男自工会会長、欧州のEV前のめりに釘
「敵は炭素、エンジンではない」
「敵は炭素、エンジンではない」。9月9日、日本自動車工業会(豊田章男会長、自工会)の定例会見の冒頭、豊田会長は「ライフサイクルアセスメント」の視点で地球温暖化対策を考えるべきとの日本メーカー、行政当局の考え方を改めて強調した。欧米や中国のメーカーが再生可能エネルギー開発や、エネルギーの多様化を置き去りにしてピュア電気自動車の開発販売競争を加速させるのに対して警鐘を鳴らした格好だ。
「ウエルツーホイール(油井から利用まで)」の視点で温暖化排出ガス削減に取り組まなければ、対策の実効性は生まれない。今年4月、日本政府が新たに打ち出したCO2削減目標についても「欧州の流れに沿うもの」と、やや距離を置いた表現となった。菅政権は2030年度における温室効果ガス削減目標を2013年度に比べて46%削減するとし、さらに50%削減に向けて挑戦するとしている。
また、世界的な需要逼迫による半導体部品供給減、コロナウイルス感染者増加に伴うアジアからの部品供給の滞りなどにより、「7月、8月の生産は前年割れ。9月も前年同期比マイナスが続いている。昨年の生産も厳しかったが(状況は)さらに悪い」(永塚誠一副会長)と、危機感を募らせている。
●9月9日●豊田章男自工会会長は、「3期目続投」報道に不快感を示した。メディアは「いつから噂話を載せるようになったのか」「有名人を記事にしてPVを稼ぎたいのか」と。
取材・文/神領 貢(本誌編集長)