髙倉会長退任、金子新会長就任へ
「一人を助けられる」組合を望む
自動車総連は創立以来の節目となる50周年を2022年に迎える。当面の活動方針について議論する「第50回大会」が9月9日から10日、都内で開催される。この場で髙倉会長の後任に金子晃浩事務局長が新会長に選出される。
電動化、自動化に象徴される次世代自動車の開発競争の真っ只中にあって、長らく日本を支えてきた自動車産業に関わるすべての労働者の雇用をいかに守っていくのか。新会長への期待は大きい。金子氏は、「4年間の事務局長の経験を生かし、恐れず果敢にチャレンジする」と抱負を語った。
大会に先立って記者会見が行われた。雇用維持について髙倉氏は、日本におけるモノづくりをしっかり維持することを前提に、電動化で雇用減が言われる中にあっても、「ソフトランディングさせるべき」と経営側に釘を刺した。
記者も●不正車検、手抜き整備問題●車両法の改正問題●自賠責保険の繰り戻しについて質問した。髙倉氏は、「組合に対して組合員が(事態を)報告できる風通しの良い状態を作るために、単組はしっかりやってくれ」と話す。が、記者の受け止めでは、組合の一部が「御用組合」と化してしまっている。経営者に対して個人ではなく組合としてちゃんとモノが言えないのでは組合費を支払っている値打ちはないと思う。
自動車総連は、組合と組合員の関係を「単組の問題」と片付けるのではなく、「一人のための全体」として単組の指導に当たって欲しいと思う。自賠責保険や自動車関連税制についてはユーザー負担軽減を強く主張したが、具体論に乏しい。どこからどのように手をつけるのかはっきりと政府に主張を突きつけられなければ、財政難を盾にユーザー負担軽減に抗う政府を動かすことはできないだろう。
取材・文・写真/神領 貢(本誌編集長)
※冒頭写真が金子新会長。