特報!! 利用者がタクシー運転手選ぶ仕組み、国交省が検討中

スポンサーリンク

利用者がタクシー運転手選ぶ仕組み、国交省が検討中

今のままでドアツードアの移動をまかせられるのか!?

 

10月1日からの消費増税にともなって全国の多くの地域で消費増税分の値上げが予定されている。さらに時期をずらして料金値上げが検討されているエリアが多数存在する。タクシーは庶民からどんどん遠ざかっていくかのようだ。

タクシーの近代化が叫ばれて久しい。国の調査で平成元年度に33億人の年間輸送人員があったのが、直近のデータである平成29年度には15億人弱まで落ち込んでしまった。四半世紀で半数以下になった勘定だ。

国とタクシー業界は利用者増を図るために、初乗り運賃下げ、事前確定運賃制度の導入、相乗り実験など利便性向上に躍起だ。だが、抜本的な利用者増加とはなっていないのが現状。

その理由はやはり料金の高さだろう。不況で国民の財布もしぼみがちの中、同じ公共交通手段である路線バスなどと比べると利便性では勝るものの、やはり料金の高さは否めない。かなり改善は進んでいるが、事業者によってはサービス業としての認識が足りないのではないかと思うような車両の維持状態の悪さ、運転手の接遇の悪さもいまだに存在する。「公共交通」の名の下に地域の参入車両数が制限され、原則として料金競争もない。長らく記者が「ライドシェア鎖国」を解くために、日本式のライドシェア導入議論を始めるべきと言っているのはこのためだ。

乗車する前に車両が分かり、運転手が分かり、料金が分かる。さらに運転手の評判も利用者の口コミ情報で分かる。とくに都心部では平日の昼間と、夜間、雨天時、電車の終発後など繁閑の差が激しい。こうした需給ギャップもライドシェアが解禁されれば,かなりの部分で埋まることが期待される。国は利用者視点のドアツードアの移動の利便性向上について、もっと真剣な議論を始めるべきだろう。

タクシー業界とそれを票田とする議員連盟の先生の皆さんも誰のためのタクシーなのかよくよく考えてみるべきではないか。自分たちのエゴにより、結果として国民のドアツードアの移動に不便を来たしていることを知るべきだ。

9月3日の午前、タクシー行政を司る国交省自動車局旅客課の担当者と話した。以下のその要旨だ。過去の担当者と比べると、現職は「業界の肩を持つ気は全くありません」と、タクシー改革に柔軟な方とお見受けする。ぜひ利用者最優先の施策をお願いしたいものだ。

以下はやり取りの要旨の一部。

Q 国はタクシー側の視点だけでモノゴトを判断していないか。

A 基本的には利用者のことを考えている。なお、担い手の確保、安全性が担保されているかどうかは重要。

Q 国はいつまで経ってもライドシェアについて議論していない。

A ライドシェアにできてタクシーにできないものがあるか。メリットと言われるものを積極的に採用している。「相乗り」もポイントを決めて実施することで利用者が増えた。名古屋市ではアプリ会社がタクシーを借りきり、利用者のニーズに応じて料金を柔軟にしたサービスを提供している。

Q 「事前確定運賃サービス」は時間距離併用制と矛盾していないのか。

A 矛盾していない。事前確定運賃は曜日や時間帯によって所要時間を定め距離料金に反映させている。また、1割程度だが、料金の幅を極めて事業者が料金を決められる仕組みにした。

Q タクシーの利用者が大幅に減少している中、バスやトラックなどへの人材流動化を促すべきではないか。

A タクシーから大型車の運転士に転換していないのはそうだろう。AIの導入により、新人でもベテランドライバーと変わらない実車率を記録しているところもある。ドライバーの安定収入確保が技術革新により進むことで、いまの歩合制メインから固定給制へ移行できればと思っている。時期は言えないが、利用者が運転手を選べるようになる。

http://www.taxi-japan.or.jp/content/?p=article&c=575&a=15

 

取材・文/神領 貢

スポンサーリンク