滑り止め規制でなくタイヤチェーン規制の標識新設はドライバーによくよく周知を!!

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滑り止め規制でなくタイヤチェーン規制の

標識新設はドライバーによくよく周知を!!

 

国交省と警察庁はこの冬シーズンから「タイヤチェーンをつけていない車両通行止め」の新標識を設定する。青地に白抜きでタイヤにチェーンを装着した図柄を採用する予定だ。11月28日まで国民の意見を聞くパブリックコメントまの期間を設定しているが、これまでの例でも分かるとおり強い反対意見が多数寄せられない限りは、当局の意向どおり新標識が公布・施行される。12月上旬から順次標識が設置されるわけだ。

 ところがこの規制、少々不安がある。皆様ご存じのとおり、現在、「滑り止めのないクルマ走行禁止」の標識は存在しない。「冬タイヤを装着しよう」「タイヤチェーンを携行しよう」と注意喚起は行われているが、一般道では冬タイヤやチェーンを装着するかどうかはユーザーの判断に委ねられている。まあ、それが原因で雪道でスタックするクルマが跡を絶たないわけだが。

なお、高速道路では「滑り止めのないクルマは通行できません」の表示とともに、滑り止めの規制を行っている区間内での料金所からの高速道路への進入を制限しているが、規制区間外から高速道路に進入する場合に料金所で止められることはない。もちろん規制エリアで滑り止めもしくは冬タイヤを装着していなければ、規制区間手前の料金所で高速道路から下ろされることはある。

 今回の「チェーン装着規制標識」の新設は、言わばこうした状況で「滑り止め装着規制」ではなく、チェーンを装着していないと、スタッドレスタイヤなどの冬タイヤを装着していても通行できなくなるという厳しいものだ。

 なぜ「滑り止め規制」ではなく、「チェーン規制」なのか、標識の新設を主導した国交省道路局企画課に取材した。「国の直轄国道における過去のデータから(降雪で)立ち往生した車両の先頭車はスタッドレスタイヤを装着している場合が多かった」と説明する。が、スタッドレスタイヤとタイヤチェーンで積雪路の降雪時にどの程度走破性に差があるのかの「データはない」(同)のが実情だ。また、立ち往生して行き違いもできないほど道路を塞いでしまうのは大型車の方がさらに深刻だと思うのだが、大型車はタイヤチェーンを装着している場合の方が多いのではないだろうか。

加えて新しい規制標識がちゃんと周知されないままに、一般道路でチェーンを携行せず冬タイヤで規制エリア内に進入したり、タイヤチェーンを携行していても、規制標識の手前で寒い中、路肩にクルマを停めてチェーンを装着するのは馴れていないと上手く行かない可能性もある。そこが峠の手前の坂道だったりしたら、これはもう相当難儀するのは必至だろう。

 記者のまわりにも意見を求めたが、降雪地域に住む人でも近年はチェーンではなくスタッドレスタイヤで冬時期を賄っているドライバーは多い。ましてや雪の降らない都心部に住んでいて冬場だけスキー場や積雪の多い北国などに出かける人は、冬タイヤを履くことはあってもチェーン装着など長らくやったことがない人は多いのではないだろうか。

 こんなふうに考えると「タイヤチェーン規制標識」が出たら、どうしても規制区間を通行しなければならないクルマを除いて、事実上、冬タイヤ装着車は通行をあきらめるべきと考えておかないと、規制違反に問われる可能性がある。当局には「タイヤチェーンの方が間違いなくスタッドレスタイヤよりも走破性が高い」との結果をぜひとも出して欲しいものだ。

 もとより吹雪のもと、車内で夜を明かすような事態に陥ることは絶対に避けなければならない。「まぁ、大丈夫だろう」とか安易な考えで吹雪の峠道に進入した結果、自車がスタックしたことで渋滞の原因を作ってしまうようなことにならないよう、雪道での万全の備えと避けて通れない場合を除いてスタックの危険性がある場合に、滑り止めをつけていても不要不急のクルマでの外出を極力避ける意識はしっかり持って置くべきだ。

 高速道路と同じように「滑り止めまたは冬タイヤ装着」規制との二段構えにするなど、道路管理者と規制を運用する側はドライバーが戸惑わないよう「適切に判断する」(同)よう心がけてもらいたいものだ。もう冬は始まっているのだから。

 

 

取材・文/神領 貢(マガジンX編集長)

 

チェ制等にする改正案のパブリックコメントを始します
~「道路標識、区画及び道路示にする命令の一部を改正する命令案」について~

http://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001097.html

 

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