日産はアフターマーケット分野での付加価値向上を狙って、日常的にクルマの使われ方情報を収集し、車販ユーザーの取り込みを強化する。まずは日本とインドで2017年から始める。
繋がる化と所有車のカスタマイズ、アクセサリーパーツのラインナップ強化を新車段階はもとより、補修市場でも行う。販売会社にとっては部品とサービスの両方で収益が上がる。系列販社の基盤収益拡大に寄与するのは間違いない。
一方で、アフターマーケットの成長が鈍化しているいま、整備専業者、カー用品店、ガソリンスタンド業態などで、自動車メーカーと繋がれない企業の経営が圧迫されることになる。
以下はケント オハラ常務執行役員のプレゼンと質疑応答。
インフィニティからダットサンまで、すべての日産車のお客様にとって、より楽しく、ワクワクするドライビングを提供する。すべての人々のためのパーソナライゼーションを進める。
フランス工場で作る5代目マイクラは、125ものバリエーションがある。お客様が本当に欲しいクルマを提供する。コネクテッドカーのオプションを日本とインドを皮切りに2017年から始める。
世界には4000万台の日産車が走っている。すでに走っている日産車の既存のお客様にコネクティビィティを提供する。
お客様が望むサービスの提供により、新規の営業機会を得ることで、2022年には収益を現在比25%増にする。コネクティビィティとパーソナライゼーション、アクセサリーの提供により。
質疑応答。
クルマのマネジメントシステムから常に情報を収集する。最終的には修理や部品の供給予測が出来る。予測の精度を上げて、緊急の部品供給を減らし、在庫の負担減に繋げる。
ルノーと日産は密に連携している。三菱とはアフターセールスのキックオフの会議を明日やる。
日本とインドは2017年から始める。既存車普及率は30%を目標にしている。期限は設けていない。サービスをキチンと提供することが重要だ。
所有とシェアの割合については、分からないが、お客様の満足度を上げることで、日産ブランドの満足度向上にも役立つと考える。
コネクティビィティに関する計画は3割が既存車。新型車はもっと割合が高い。得られる情報は価値がある。お客様ニーズは貴重な情報。だが、始まったばかり。2022年にかけて、情報の 活用により、見えないものが見えてくるだろう。
個人情報保護と基盤収益確保によるマーケットへの影響について質問した。
個人情報保護については、メーカー側で管理し、ディーラーは必要な情報のみを共有する。最高レベルのセキュリティを行っている。
サービス拠点を選ぶのはお客様自身。コネクティビィティの普及により、お客様の販売会社に対する定着率が上がる。
他のブランドも同じだが、メーカー系列は自社ブランドのアフターセールス獲得額を増やす方向。新車装着はもちろん、後付けパーツでも整備専業者やカー用品店のシェアを食っていくことになるわけだ。
取材 文 写真/神領 貢 マガジンX編集長