スクープ! スバル技術者続々と転職!
アイサイト独自開発放棄の判断で見切り
マガジンX1月号で「スバルが次期アイサイトの独自開発を事実上中止へ」のスクープは大反響をいただいた。
現在の内製プラス日立によるステレオカメラからモービルアイとオートリブ製の単眼&マルチカメラを使った汎用品のチューニング、いわゆる吊るし製品の購入に移行するものだ。この方針が経営陣により決定されて以降、「スバルの独自性は喪失した。将来性も仕事のやりがいもなくなった」とエンジニアの退職者が続出しているという。
事情通によると、アイサイト部隊の上層部は、すでにスバルが目指す「安全はすべてに優先する」の考え方から、JNCAPをはじめとする各国のアセスメントで優秀な成績を取ることが一番の目的と現場エンジニアに説明を行っているのだそうだ。
さらに最近の情報では、上層部の中でステレオカメラ自体に見切りをつけて単眼カメラ+ミリ波レーダーのフュージョンシステムに切り替えた方が良いのではという話さえ聞こえている。
サプライヤーの吊るし製品を買ってきて、「アセスメントでポイントが高ければそれで良い」が上層部の考えの大勢を占めるのでは、アイサイトの独自開発をやりたくて入社した現場のエンジニアはたまらない。
最近では入社数年の若手エンジニアたちが続々と転職サイトに登録し始めており、実際に離職者が後を絶たない状況が巻き起こっている。アイサイトの開発姿勢の変化に、他の開発チームのエンジニアも「次はウチのパートも方針変更させられるのではないか」との危惧からだ。このままではスバルの開発部隊の弱体化は明らかだ。
マガジンX1月号にスクープ記事が掲載されて以降は、寄ると触るとこの話で持ちきり。スクープの犯人探しに躍起となっている管理職の有り様やユーザーや販売会社からの事実確認の問い合わせが増えているなどの事態に直面して、開発部隊の混乱状態が収まらない。
転職が難しい40歳以上のエンジニアのモチベーションは相当落ちている。「吊るし品を買ってくるなら、適当にお茶を濁して定年を平穏に迎えたい」という人が、ほとんどになってしまったとは、ある関係者の話だ。
若手は辞めていく、転職が難しい中堅はやる気が失せる。スバルの開発部隊は内部から崩壊をはじめていると言って良い状況になってきた。
スバルの100万台規模の販売台数では、コスト面は言うに及ばず、メガサプライヤーがスバル側の要望を聞いてくれないことは明らかと嘆息するエンジニアの話が痛々しい。
スバルは完成車不正に見られるように、経営陣と開発、生産部隊との間に大きなミゾができているようだ。スバル経営陣は今こそ目を覚まし、スバルの独自性を取り戻す努力をしないと坂道を転げ落ちてしまうのではないかとの危惧さえ抱かざるを得ない。
取材 文/神領 貢 マガジンX編集長