マガジンX 2024年12月号(10月25日発売)に掲載された『ざ・総括。』ミニ・クーパーの記事をnoteにて税込300円で購入できるようになりました。以下は無料公開の冒頭部分です。続きを読みたい方はその下のリンクからご購入ください。
【ミニ・クーパー】
これも不幸なBEVの仲間
BMWがミニの商標権を獲得したのは、1994年に当時のローバーグループを買収したときだった。新生ミニの初代は2001年発売。現行モデルは4代目と言われているが、実質的には3代目で使っていたプラットフォーム「UKL1」をはじめとして、サスペンションなどのエンジニアリングを引き継いだMC(マイナーチェンジ)モデルである。また、時流に合わせてBEV(バッテリー電気自動車)仕様も投入されたが、こちらはBEV専用プラットフォームを使う。本誌評価陣は「クルマとしてのまとまりはICV(内燃機関搭載車)のほうがいい」「BEVを買う必然性はない」と言った。
ついに出たBEVミニ
エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 4代目ミニだ。早いものでBMWがミニというブランドを手に入れてからすでに30年が経つ。いま、ミニを買っている人のほとんどはBL(ブリティッシュ・レイランド)のオリジナル・ミニのことは知らないだろう。BMWの戦術は見事に的中し、かつてのミニとは別の世界を作り上げた。まあ、それがBMWの狙いで、「ミニ」という車名と「小さくて丸っこくてカワイイスタイリング」を引き継いで、そのうえで利益の出るビジネスモデルを作ろうとしたわけだから、大成功と言える。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) 今回、みなさんに乗ってもらったミニは、ICE(内燃機関)搭載のICV(内燃機関車)はミニ・クーパーSで、オール・エレクトリックと名付けられたBEVはミニ・クーパーSEだ。正式に車名がミニ・クーパーになった。かつてはクーパー・チューンのモデルがミニ・クーパーだったが、世の中ではすでにミニ・クーパーで名前が通っているから、そちらになびいたわけだ。車両価格は2リッター4気筒ICEと7速DCT搭載のICVが465万円、電動のほうは531万円だ。ちなみにミニのBEVはグレード名に「E」が入り、試乗した「SE」はクーパーS相当の仕様という意味だそうだ。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) ずいぶん高くなったなぁ。昔は日本に輸入しても200万円台のクルマだった。この500万円オーバーの電動ミニが買える人に電気自動車補助金を出すのはおかしい。
部品メーカーのエンジニア(以下=部) 行政は「電気自動車はエコ」という短絡思想ですからね。日産はもう10年ほど「災害時にBEVを派遣する災害協定をどこどこと結びました」というBEV布教活動を続けてきましたが、BEVは電池に貯めた電力がなくなれば、それでおしまいです。本当に災害時に役に立つのはエンジンで発電もできるPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)です。
自動車業界の事情通(以下=通) 補助金がなくなればドイツと同じようにBEVは売れなくなる。中国は補助金を廃止しても購入税減免は残した。政府が強制する「クルマ選び」ならぬ「クルマ選ばせ」は絶対に成功しない。EUではまだBEVが売れていると言うが、誰が買っているのかを調べれば、自動車産業の関係者や政府・自治体の関係者だ。それ以上に、ミニの場合を見ても分かるように、BEVはそもそもの出来が良くない。
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