マガジンX 2024年12月号(10月25日発売)に掲載された『ざ・総括。』トヨタ・スープラの記事をnoteにて税込300円で購入できるようになりました。以下は無料公開の冒頭部分です。続きを読みたい方はその下のリンクからご購入ください。
【トヨタ・スープラ】
勘違いか、日本の味か
2019年5月にGRブランド専売車として発売されたDB型スープラ。車両骨格とパワートレインはBMWのオープンカー「Z4」とほぼ同じであり、日独の兄弟車である。スープラは2座クーペ、Z4は2座コンバーチブルであり、内外装デザインも違う。乗り味も違う。いまやトヨタは、日本国内より海外で販売するモデルのほうが多いが、スープラもメインターゲットは北米市場であり、ポルシェ・ケイマンが開発のベンチマークだった。本誌評価陣はスープラを前にして「あちこち手直ししたくなるクルマ」「否定も肯定もしない」と、少々冷めた物言いに終始していた。
万人向けではない
エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 前回はGRヤリスとGRカローラに乗ってもらった。今回はGRスープラだ。ふと気付いたのだが、このクルマが発売されたときにも、その後に2度の一部改良を行ったときも、この評価会議では取り上げていなかった。前回のGRヤリス/カローラは、言ってみれば「自分はレースやラリーが好き」という人たちに向けたチューニングベースだという結論だった。スープラも自分なりにいじって乗っている人は多い。普通のクルマ選びで候補にあがるクルマではない。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) 皆さんに乗ってもらったのはZF製8速ステップAT(ステップとは有段の意味。CVTの無段に対する有段)で、3ℓ直6エンジン搭載の「RZ」だ。車両価格731万3000円。この評価会議のルールで言えば★評価するかどうかが微妙な700万円台だ。まあ、オレはチューニングショップの経営者として、「お好きな人はどうぞ」と言っておく。(笑)
ベテラン実験ドライバー(以下=T) 個人の好みで言えば嫌いな部類のクルマだ。評価運転としての採点結果は★3つ。ただし、自分があと20歳若くて、どこかのOEM(自動車メーカー)にいて、このモデルのMC(マイナーチェンジ)を担当しろと言われたら、やりたいことはいくつかある。
部品メーカーのエンジニア(以下=部) GRブランドのような万人が対象ではないピンポイントねらいのクルマを評価する必要があるのかという点は疑問ですが、ひとつ収穫だったのは、BMW・Z4とボディ骨格もパワートレインも同じスープラが、乗り味はこうも違うのかという点です。仕事関係でたまたま1週間ほどZ4の「M40i」に乗っていて、あのクルマも3ℓ直6にZF製8HPという傑作ステップATです。その後でこのスープラに乗ったのですが、オープンとクローズドの違いというより、クルマに対する思想の違いのように感じました。
自動車業界の事情通(以下=通) 製造はZ4もスープラも、オーストリアのグラーツにあるマグナ・シュタイアの工場だ。おなじ製造ラインでZ4とスープラを混流でロット生産していた。ボディ骨格はほとんど同じだと思う。
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