日産は神奈川県厚木市にあるグローバル・デザインセンター内のプレゼンテーション・ホールをリノベーションし、リアルとデジタルが融合する施設へと刷新した。この建屋は06年にリニューアルされ、これまでデザイン決定会議が行われてきた場所だ。ソニーとのコラボでハイレゾ画面が導入された施設でもある。
そのホールに24KのLEDスクリーンと天井スクリーン、リモート照明技術、7.1チャンネル音響システムが設置され、実際にクルマが使われるシーンを再現しながらデザイン評価を行える場所へとアップデートされた。
デザイン工程と言えばレンダリングやスケッチを描き、それを元にクレイモデルを製作する方法が一般的だった。しかし、この方法では時間を要する。そこで、製作期間とコストを抑えるために日産では16年からVRゴーグルを活用するなど、工程のデジタル化を進めてきた。
新しくなったプレゼンテーション・ホールではゲーミングエンジンが使われ、時刻や天候の変化を再現。これにより、外観デザインの見栄えだけでなく、内装デザインが受ける影響(例えばメーターパネルへの写り込み)も確認できるという。また、実際のクルマや立体モデルを持ち込んで車体への写り込みも確認可能だ。
ちなみにLEDスクリーンが湾曲しているのは、正面から見た時に両端に投影されたモノが歪んで見えないようにするため。実物大のデジタルモデル6台を並べて表示でき、回転させるなど、あらゆるアングルから見ることができる。
このホールはオンラインで外部とも接続しているため、場所と時間の制約を受けずに世界中のデザイナーがアイデアを共有したり議論を重ねることが可能だ。参考までに、日産は国内だけでなく、米国、英国、中国にもデザインスタジオを構えている。
今後、この拠点からどんなアイデアが生み出されるのか、楽しみだ。