マツダ商品群の中でエントリーモデルにあたるマツダ2がマイナーチェンジされた。同車は国内でCX-5に次いで売れているマツダ車で19%の販売構成比を占めているが、近年は若年ユーザーの比率が低下して平均年齢が上昇。
そこで今回の改良のコンセプトは「好きを探せる相棒」と定められ、前後バンパーやラジエターグリルの変更、ルーフフィルムの採用、バリエーション展開の整理が行われた。
主力グレードに位置づけられる新設定のBDはシンプルなキャラクターながら、ボディ色とは異なるルーフフィルム&ドアミラー(ホワイトまたはブラック)とホイールキャップ、さらに一部ボディカラーにはホワイトグリルも用意されていて198パターンから選ぶことができる。植物由来原料であるバイオエンプラ採用のインパネ・ガーニッシュはボディカラーに応じて色が決まっている。
1.5Lガソリン車が164万7800円、1.5Lディーゼルターボ車が199万1000円(ともに6速ATのみ)。22万円高で4WDモデルも選べる。
ブラックトーン・エディションは2代目以降のデミオで使われたSPORT(スポルト)に名称を変更。専用メッシュグリル、ブラックのルーフフィルム、赤ライン入りシートといったアイテムが与えられ、MT車も引き続きラインナップされている。
1.5Lガソリン車が200万2000円、1.5Lディーゼルターボ車が232万1000円(ともに6速MTと6速ATから選択可)。22万円高で4WD・ATモデルも設定。
上質かつ明るいキャラクターのサンリット・シトラスは継続設定モデルだが、本革巻きパーツやステアリングヒーター、パワーシート、車線維持支援システムなどが追加されて商品力に磨きがかかった。
BDのラジエターグリルを眺めると、電気自動車のようにフタをしたかったのか?と想像してしまうが、デザイン本部の木元英二さんは「ボディ色がフロントマスクを左右に横断していて、そこにシグネチャーウイングが入っている考え方」としてフタという捉え方を否定。「親しみのある顔立ちをめざした」とのことだが、バンパー下部の装飾は口角が下がっていて楽しくない表情を連想させる。この点については「左右を持ち上げてニッコリさせると可愛らしさが出すぎてしまうため、マンガっぽくならないように気をつけた」という。モチーフはクマのキャラクターだそうだ。
新ボディカラーのエアストリームブルーMとエアログレーMについてデザイン本部の寺岡俊丞さん曰く「中間色のアースカラーが流行っているが、ふくよかに見えるようメタリックに仕上げた」として平たい印象にならないよう心がけたとのこと。
すでにマツダが国内向けの全乗用車に何らかのカタチで用いているバイオエンプラは無色透明の素材を着色するため、塗装工程が不要になってVOC(揮発性有機化合物)の削減にひと役買っている。装備開発部の一原洋平さんは「植物由来のため製造インフラが少なくてコストは高いが、塗装工程を省くことができて深みのある色合いを実現できる。また、塗装品と違ってキズがついてしまっても下地が出てくる心配がない」と長所を説明する。
ルーフフィルムも環境対応の面でメリットが大きい。車両技術部の大川岩保さんは「マスキングを施して二度塗りする工程を省けたことで、製造時に1台あたり30kgものCO2削減効果がある」と話す。フィルムは微小な歪みや凹凸が目立ってしまう難点があり、それを克服するために試行錯誤を繰り返して目立ちにくい表面処理に行き着いたそうだ。