20年11月に型式指定を得たホンダの自動運転レベル3がレジェンドに搭載されて発表された。ホンダ・センシングElite(エリート)と名づけられた同システムの搭載車は限定100台がリース販売される。税込み価格は1100万円だ。
台数限定の理由について本田技研工業の寺谷公良・日本本部長は「ユーザー一人一人に丁寧な説明を行って説明責任を果たし、安全に使える状態を保つためのメンテナンスも徹底するため」と述べ、当面は増産も考えていないとした。
レベル3とは条件付き自動運転車のことを指し、渋滞している高速道路など一定の条件下でシステムがドライバーに代わって運転操作が行われる。
レジェンドには自車の周囲360度を監視するために5個のLiDARや5つのセンサー、フロントカメラが搭載されており、ここから得られた情報が高精度3D地図と照合されて頭脳にあたるECUが認知・予測・判断してアクセル、ブレーキ、ステアリングを制御。
ハンズオフ状態でも前走車に追従して車線中央を走る機能、ドライバーのターンシグナル操作に応じて車線変更を支援する機能は他社でも実現されていて珍しくはない。だが、レジェンドでは高度車線変更支援システムをONにしておくと車線変更&追い越しをクルマが自ら判断&実行して設定速度での走行を維持。また、渋滞の中でアイズオフが可能な点も目新しく、ナビの設定やテレビを視聴することができる。
渋滞を抜けてドライバーに運転操作の主体が戻される時はクルマからのメッセージが発せられる。ステアリングホイール、メーターパネル、助手席前方に内蔵された照明の色が変わり、アラーム音とともにドライバーに知らされる。万一ドライバーが体調不良などに陥って反応がない時にはハザードランプ点灯とホーン吹聴によって車外に異常が知らされ、クルマは自動的に減速して路肩に停止する。
オンライン会見で投入の意義を問われた寺谷さんは「交通事故ゼロへの大きな一歩であり、ホンダの優れた技術を世の中に示すこと」と説明した。また、本田技術研究所の杉本洋一エグゼクティブチーフエンジニアは「技術の進化の象徴。(現状コストは高いが)将来、必要とされる技術で、コストは着実に下がっていく」として、エアバッグや衝突被害軽減ブレーキも出始めの頃は高かったことを引き合いに出した。