ロンドンタクシー「TX」いよいよ発売!
PHEVでエンジンは発電専用。600km走行可能
LEVCジャパンは先にロンドンタクシーを2月から国内発売するとしていたが、1月10日、都内で実車のお披露目と今後の事業計画について記者会見を行った。
ヨーグ ホフマンロンドンエレクトリックビークルカンパニー(LEVC)CEOのプレゼンを中心にお伝えする。
大学の卒論は日本の「カイゼン」について書いた。
日本GMのオペル部門、その後アウディへ移籍。シンガポール、ブラジルを経て20年ぶりに日本に帰ってきた。
TXは日本向きと確信している。当社は2013年に吉利汽車に買収された。2017年にタクシーを作る会社から電気自動車を作る会社に変貌した。LEVCはTXを製造するための工場をイギリスに設置した。2014年に5億ポンドの資本投下が行われた。
TXは軽量アルミボディとレンジエクステンダーが特徴。最大600キロ走行可能。サービスインターバルは4万キロで良い。燃料費とメンテナンスコストが大幅に低減されている。エンジンは発電専用。
2018年1月発売以降、世界で3800台以上のTXが運用されている。総走行距離は1億キロを超える。
新しい挑戦として1トン貨物車を販売。今年11月から。当初はヨーロッパがターゲットだが、来年第一四半期には日本にも導入する。リムジン用シャトルや商用車も製造する。新しいマーケットへの参入を考える。
2019年はイギリス国内向けが9割だったが、2022年にはフランス、ドイツ、日本、中東などにアプローチし、輸出比率を6割にしたい。
非常に重要なことだが、日本市場には大きな潜在力がある。タクシーは全国で24万台、うち東京が5万台ある。ロンドンは2万台しかない。5万台のうちプレミアムセグメントは5000台。そのうちの1000台を狙う。
タクシー専用として設計されている世界唯一の車。静粛性に優れ、スムーズな乗車環境を提供する。定員6人。車載Wi-Fi、充電用ポートも多数設置されている。
最小回転半径は4.2メートル。道幅が8.4メートルあればUターンできる。LEVCはタクシーに縛られずビジネスを拡大していく。アプリなども視野に入れている。2ヶ月後には東京、大阪、名古屋にTXがたくさん走っていることを願う。
正真正銘のタクシー専用車。都市の規制の中で何ができるのかを考え抜いたクルマ。スチール製に比べて3割の軽量化を実現、2倍の強度を持つ。交流充電に加え、25分未満で80%の直流急速充電ができる。チャデモ規格に対応。ブレーキ回生システムも搭載。
エンジンは充電のみだが、「ハイブリッド車ではない」とホフマンCEOは強調する。ファーストクラスの移動空間。ドライバーとの間にはパーテーションがあるが、マイク&スピーカーにより快適に会話できる。
価格は緑ナンバーの場合、税込み1120万円。
2019年度の国と東京都の補助金合計364万円。補助金適用後価格756万円。車いす登録した場合は消費税免税。2月1日に車いす仕様車発売予定。2月以降の1年間で全国で百台販売目標。基本的には直販。
ハイヤーサービスをタクシー運賃で行う事業者を想定。メンテナンス拠点は世田谷と幕張。整備のインターバルが長いので事業者は困らないと思う。外販部品も使える。ボディ設計は百万キロ対応。水冷バッテリーはロングライフ。イギリスでもバッテリー交換の実績がないくらいロングライフ。
行政とタクシー業界の結びつきが強く、また、トヨタ車が寡占しているタクシー車両だが、ロンドンタクシーがどこまで日本市場で存在感を示せるのか注目したい。
取材 文 写真/神領 貢(マガジンX編集長)