自動運転技術やロボット開発のベンチャー企業ZMPは、日の丸交通と共同で自動運転車両を用いたタクシーサービスの公道営業実証実験を8月27日から9月8日まで行うと、同社が開催するセミナーイベント「ZMPフォーラム」にて発表した。自動運転車両を使って実際に乗客を乗せた営業サービスを行うのはこれが世界初となる。
この実証実験は、ZMPが開発した自動運転車両RoboCar MiniVan（エスティマ）とスマートフォンを使った予約システムを用いて、日の丸交通がタクシーサービスを実施するもので、大手町から六本木までの約5.3㎞の公道を自動運転のみで営業走行する。
利用者の応募はすでに開始されており、一定の条件（スマホでのネット決済可能な人、など）を満たした応募者のなかから抽選で予約可能者（実験参加者）が決定される。予約可能者はスマホから実験期間中の利用日時を予約し、当日はどちらかの発着地で乗車。到着後にスマホで決済をして降車という流れになる。価格はイベント定額運賃（申請中）で片道1500円となる予定だ。
ZMPでは、2014年からレベル4の自動運転を目指した公道での実証実験を開始しており、昨年の12月にはお台場において初の遠隔無人運転の実証実験を行っている。今回の実証実験ではその車両と、スマホから予約・決済ができるサービスアプリをZMPが提供し、日の丸交通が実際の運用を行う。
今回のルートを設定した理由として日の丸交通は、まず第一に自動運転車両での乗降に適したタクシー乗り場が必須だということで、日の丸交通が日本交通と共同で作ったタクシー乗り場がある六本木ヒルズを起点とした。また、六本木から大手町に向かう乗客が多いことから、もうひとつの乗降地は大手町フィナンシャルシティ・グランキューブを設定。この区間は普段から交通量も多くてタクシー利用者も多いことから、「タクシードライバー不足を自動走行タクシーで補う」という将来的な課題解決の手段としても実証実験を行う意義があり、注目されている。
東京ハイヤー・タクシー協会の調べによると、平成22年に85.2％だった東京都内でのタクシー稼働率は平成29年には76.8％にまで落ち込んでいる。また、現在タクシードライバーの平均年齢は58才と、60代が中心となって支えているが、少子高齢化がこのまま進むと、現在は全体の3.7％のリタイヤゾーンと呼ばれる75才以上のドライバーが10年後には34.6％になるという試算もある（出典：公益財団法人・東京タクシーセンター）。「人手不足」「高齢化」により悪化している稼働率の問題を解決し、将来的にライドシェア解禁となった場合に顧客を奪われたくないタクシー会社としては、自動走行タクシーの実現に期待するより他になくなってきているのである。
なおZMPでは、今秋にも2020年の東京オリンピックを想定して羽田空港〜お台場間でも実証実験を行う予定である。
■実証実験の概要
日時：2018年8月27日（月）〜9月8日（土）9:00〜17:00
※9/2（日）は除く。天候や交通状況等により運行中止の可能性もあり。
実験経路：大手町フィナンシャルシティグランキューブ〜六本木ヒルズ間（約5.3㎞）
運行車両：RoboCar MiniVan（ベース車：エスティマ）1台
運行回数：1日4往復（予定）
料金：片道1,500円（税込・予定）
※実際のメーター料金ではなくイベント定額運賃（申請中）
主催：日の丸交通、ZMP 協力：森ビル
参加申込サイト： https://www.zmp.co.jp/aidelitaxi
申込期間：2018年7月18日（水）〜7月31日（火）18:00まで
利用方法：申込フォームより申し込み後、抽選により予約可能者を決定。予約可能者はスマートフォンで予約を行い、利用日当日に発車地にて乗車、到着後に決済して降車。
※運行回数に限りがあるため、希望の利用日時に乗車できない可能性もあり。
応募条件：
・応募フォームにて入力を完了できる人
・クレジットカードでのネット決済が可能な人
・iPhone（iOS11以上）もしくはAndroid（Ver.7以上）のスマートフォンを所有し、予約できる人
・連絡の取れる携帯電話、スマートフォンを所有している人
・実証実験中の撮影（車内ドライブレコーダー含む）、インタビュー、アンケートに協力できる人
乗車人数：最大4人
運行について：タクシードライバーが運転席に、技術担当オペレータが助手席に乗車。車線変更や右左折、停止等はすべてシステムが自動で操作を行うが、交通状況等により人が介入する場合もあり。
問い合わせ：ZMP自動運転タクシー実証実験担当 aidelitaxi@zmp.co.jp
ZMPウェブサイト： https://www.zmp.co.jp
