クルマも歩行者も駐車場内での安全確認を怠るな。駐車場は危険がいっぱい。

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【道路問題】マガジンX 2015年1月号 掲載

全国に林立しているショッピングモールやスーパーマーケット。ほとんどの客がクルマで買い物に行くので、大型の駐車場が併設されていてとても便利だ。しかし、その駐車場内を見ているとルール無用というか、いつ事故が起きても不思議ではない状況を頻繁に見かける。そんな危険だらけの駐車場での走行について考えてみた。

なぜそんなに飛ばすのか駐車場内は速度を落とせ

 つい先日のこと、クルマに乗って大通りに左折で合流するため、停止線で止まって交通の流れが切れるのを待っていると、後方から対向車線を逆走しながらスクーターが飛ばしてきた。そして、右側から無理やり先頭に割り込んで左折していった。以前にも赤信号の先頭で止まっていたところ、右側後方から来たバイクが右前方の位置で左にウインカーを出して停まった。まさかと思ったら、やはり右側から筆者のクルマの直前を横切って左折しようとした。しかも、慌てたのかスタートに失敗してエンスト。直進しようとしていたこちらは当然急ブレーキ。事故につながってもおかしくない状況だった。

 左折をするのであれば、道路の左側を走ってきて曲がるのが当然であり、常識だろう。いくら急いでいたとしても、事故を起こしては元も子もないからだ。しかし、そんなことすらわからない連中がクルマやバイクを運転している。なぜ免許がとれたのか、不思議でしかたない。

 対向車線を逆走したら、対向車と正面衝突する可能性がある。右側から左折したら、直進車に追突される可能性がある。そんな簡単なことすらわからない想像力の欠如したドライバーは、正直危険であり同じ公道上を一緒に走ってほしくない。ところが、そんなドライバーがいま公道に溢れているのだ。そう考えると、安心して運転していられない。

 想像力の欠如という点で少し前から気になっていたのは、ショッピングモールなど大型駐車場内での交通ルールだ。とにかくめちゃくちゃで、ほとんどのドライバーが勝手に走り、ルールを守っていない。まさに想像力が欠如しているドライバーの巣窟だ。

 駐車場内に制限速度が書かれていても、ほとんどのクルマは制限を大幅に超えた速度で狭い駐車場内を走りぬける。止まれの表示は完全に無視で、速度も緩めずに通過。さらに一方通行になっていても、空きスペースを目指して平気で逆走する始末。これでよく大きな事故が起きないものだと、いつもハラハラしてしまう。

 今回いろいろなショッピングモール等の駐車場を見て回ったのだが、一時停止がある歩行者用の横断歩道の停止線で、ちゃんと停止したクルマを1台も見ることがなかった。歩行者が立っていても、まったく減速する素振りもない。そして、平日ということもあってか、安全のためのルールを守っていないその多くが、子供をクルマに乗せた女性ドライバーだった。

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 少しでも早く停める場所を見つけたいのかもしれない。また、他者に先に空きスペースに停められたくないのかもしれない。そんな焦りから、ついつい速度を上げるのだろう。 しかし、駐車場内は見通しが悪く、クルマの陰からいつ人が出てくるかわからない。急に人が飛び出てきたときに、速度が高ければ停まり切れずにはねてしまう可能性は十分にある。駐車スペースを探しながら薄暗い駐車場内を走っている状態では、空きスペースを探すことに気をとられているので、駐車場から出ようと動き出した他車や、クルマの陰から出てきた人に気づきにくい状態になっている。だからこそ、速度は控えめにして、一時停止指示があれば必ず停まらなくてはいけない。

 しかし、なぜ多くの人が駐車場内でルールを守らずに走るのか。ひとつには、どうも駐車場は私有地内なので、道路交通法が適用されないと勝手に考えているドライバーが多いようだ。つまり、勝手に運転しても違反ではないと思っているわけだ。しかし、不特定多数の人やクルマの自由な交通の場に使用されている場合、道交法の適用を受ける。当たり前のことだが、駐車場内でのルールは安全のためにもきちんと守らなくてはいけないのだ。 

 また、以前にもこのページで書いたが、最近、一時停止の停止線手前で止まるクルマはほとんどいない。普段から停止線でちゃんと止まらないドライバーが、駐車場内だけ停まるわけがない。そう、普段からできていなことは、どこでも同じくできないのだ。そんな、安全運転に対してルーズなドライバーが、駐車スペースを探すということに神経を集中させてしまえば、ことさら他のことへの注意力が低下し、安全運転のことなど頭になくなってしまうのは当然だろう。

 こんな状態では、事故が起こるのは当たり前で、保険会社の調査によると車両事故の約3割が駐車場内で発生しているのだという。この数字は、当然といえば当然だろう。

駐車場内での車対人の事故は誰に責任があるのか

 駐車場内で安全のためのルールを守っていないのは、なにもクルマだけではない。駐車場内を歩く人もあまりにも安全を考えていない。駐車場内のクルマの通路の真ん中を堂々と歩いている人。駐車場内を走り回る小さな子供。周りをよく見ていないドライバーが多い危険な場所で、あまりに考えなしの行動としか言いようがない。これらの人も、想像力が欠如した人なのだろう。駐車場という狭いスペース内で、多くのクルマが走る中を子供が走り回ったらどうなるか、ちょっと考えればどれだけ危険かわかるハズだ。

 しかし、これも普段できないことは駐車場内でもできないということだろう。店内やレストラン内など、どこでもかまわずに奇声を上げて走り回る子供。それを注意せずに放っておく親。近頃、道路で子供と並んで歩くときに、子供に平気で車道側を歩かせている親をよく見かける。それだけ安全に対して無頓着になっているというか、なにも考えていないのだろう。しかし、万が一の事故が起きたとき、こういった人に限って自分のことは棚に上げ、相手を一方的に責めたてる。

 その前に、自分が親として子供の安全をちゃんと確保していたのか。また、いかに駐車場内が危険な場所であるかを子供に教え、親から離れて走り回ったり、クルマのドアを勝手に開けて急に飛び出してはいけないということを躾けたか考えてみるべきだ。そういった、親としての義務を果たしていなかったとしたら、一方的にクルマを責めるのはおかしいのではないだろうか。

 もっとも、駐車場内で子供を走り回らせている人も、クルマでそこに来たわけだ。そう考えると、単に状況で立場が変わっているだけ。クルマに乗っているときも、降りたときも安全のためのルールを守っていないのだから、不幸にして事故に遭ってしまった場合、残念ながらそれは起こるべくして起きたといっていいだろう。

 こうならないためにも、駐車場内をクルマで走るときは速度を落とし、駐車スペースを探すだけでなく周りの安全確認をしっかり行いながら、駐車場内の表示や指示に従うことを心がけなくてはいけない。また、駐車場内を歩く場合には、ドライバーの立場になって、クルマの通路中央を歩いたり、クルマの陰から急に飛び出したりしないようにし、クルマにはねられたりしないよう、気配りしなくてはいけない。

 こんな簡単なことがわからない、できていない人があまりに多いというのは、とても情けなくなってくる。しかし、事実は事実。もし、あなたの周りにこんな人がいたら、安全のために駐車場内でのルールを守るように優しく注意して上げて欲しいのだ。

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