東洋ゴム工業は、2015年12月25日に発表した「一連の問題に対する再発防止策」における各施策を鋭意推進している中で、事業活動上、コンプライアンスの観点から問題と認められる事案が判明したことを公表した。
東洋ゴム、および東洋ゴムダイバーテック事業セグメントの子会社である東洋ゴム化工品が製造し、納入先1社に販売してきた「産業用ゴム製品(シートリング)」において、問題行為と認められる事案が判明したという。
通常、同製品の検査では、製造部門の検査員が出荷する製品の「寸法計測(長さ、径)」、「硬度測定(ゴムの硬さ)」を行なっている。
今回の問題行為は、納入先に提示している回数(頻度)の製品検査を実施せず、また、未測定であるにもかかわらず、検査成績表の項目欄には過去の合格データを転記するという行為。なお、これは不合格データを合格データに改ざんしたものではないそうだ。
シートリングの「寸法」は金型によって定まり、また、「硬度」はゴム材料の加硫条件(温度・時間)によって管理されており、これらによって基本的な所定の規格が保持される。そのうえで規定された回数(頻度)で抜き取り検査による検査を実施すべきところ、本事案では、これを実施していないケースが判明したというもの。
東洋ゴムは、国土交通省ならびに経済産業省に対して、これを速やかに一報。また、この事態を重く受け止め、今後、然るべき対処を真摯に行なっていくという。
問題が見つかった経緯については、「一連の問題に対する再発防止策」の取り組みの一環として、新たに採用した相互チェックを実施している中で、本年1月31日、東洋ゴム化工品において、工場に駐在する当社品質保証本部員である審査員が出荷予定の製品検査のエビデンスデータを審査中、特定の担当検査員によって記載された検査成績書の項目(寸法データ)の数箇所において、過去データと酷似した数値があることを発見し、データ転記の疑義を持ったそうだ。
工場製造部門において同担当検査員にヒアリングを行なったところ、本人が当該疑義を認めたことから、直ちに当該製品の出荷停止措置を講じたという。
問題を発見し素早く対応したことは評価できるが、問題が発生しないようにすることの方が重要なはず。なぜこういったことが再発したのかをしっかりと検証して再再発防止に向けて対応すべきだろう。