トヨタがランドクルーザー(以下ランクル)250シリーズをワールドプレミアとして初めて公開した。日本国内では24年前半に発売される予定だ。
300系と再導入される70系の間に位置する250シリーズは、70年以上にわたって歴史を刻んできたランクルの「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」というコンセプトに基づいて開発された。世間では300系がランクルの中心的存在と捉えられているが、公開された新シリーズは人々の生活と実用を支えるモデルでもあり、原点回帰をテーマに開発された。プラドのサブネームが廃止されたのも、「これぞランクルのあるべき姿であって、派生車ではない」とのメッセージを明確にするため。
250シリーズには300系と同じくGA-Fプラットフォームが使われ、ランクル初の電動パワステが採用されてハイブリッド仕様もラインナップされる。
2.4Lターボに1モーターと8速ATが組み合わされるハイブリッド仕様はシステム出力330ps/630Nmを誇る。環境性能を改善するだけでなく、静止状態からの動き始めをモーターで力強く発進させる狙いもあってラインナップ。ただし、設定は北米と中国に限られる。日本導入は市場の動向やユーザーの声次第で実現か?
ハイブリッド仕様に続くパワートレインが2.4Lターボ(281ps/430Nm)&8速ATで、いわばモーターが省かれた仕様だ。中近東や東欧に投入される。
2.8Lディーゼルターボ&8速ATは204ps/500Nmを誇る。日本をはじめ、西欧や東欧、豪州、中近東など多くの地域に投入される予定だ。
ボトムに位置する2.7L直4ガソリン&6速ATは163ps/246Nm。日本や東欧で販売される。
このように、日本仕様は先代プラドと同じエンジン・ラインナップにとどまり、新開発のハイブリッド仕様や直4ターボは海外専売にとどまる。
外観デザインは先にアンベールされたレクサスGXと部分的に同じだが、フロントフェンダーから前は専用デザイン。角形ヘッドランプによって力強さが表現されているが、チーフデザイナーは「ハズシ」が欲しかったとして途中で丸目ランプを提案したところ、社内で好評を博して両方ラインナップされることに。互換性があるため、購入後に取り替えて目つきを変えられる遊び心も織り込まれている。
内装ではウエストラインが30mm下げられた。ただし、開放感が強まりすぎて不安にならないよう、インパネからドアにかけて包まれ感を表現。ドアトリムが厚く成形されているのもプロテクト感をもたらすためのアイデアだが、運転時にヒジが当たらないよう、凹みが設けられてパッドが貼られている。
プレゼンテーションではマガジンX最新号でスクープしたランクルミニの存在を暗示する写真が映し出された。
トヨタのミッドサイズビークル・カンパニーの中嶋裕樹プレジデントは「250シリーズを発表したことで(カローラやクラウンと同じ)群戦略のスタートラインに立てた」「フレーム構造はバッテリーや水素タンクを守れるメリットがある」としてBEVや水素エンジン車によるカーボンニュートラル化の可能性を語った。
なお、70系は法規対応に伴って最低限のデザイン変更が行われ、リング状に光るデイライトを新採用。また、パワートレインは2.8Lディーゼルターボ(204ps/500Nm)&6速ATに変更。こちらは250シリーズに先がけて今冬にも国内で再発売される予定だ。(価格未定)
会場には1951年式のトヨタBJから最新の300系まで、歴代モデルが展示されていた。