フォルクスワーゲン・ゴルフが “8.5” 代目に進化した

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電動化とデジタル化に重点を置いて開発された現行フォルクスワーゲン・ゴルフは21年6月に国内発売された。フォルクスワーゲン初の48Vマイルド・ハイブリッド機構が搭載され、全車に液晶メーターパネルが標準化されるなど、高い商品力を身につけて現れた。同一車線内での運転支援システム、緊急時停車支援システムといったデバイスもセールスポイントに掲げられた。
その8代目ゴルフがマイナーチェンジでブラッシュアップされて「8.5」代目に進化した。

今回の手直しではバンパーとランプ類が新デザインに変更されたほか、ノーズ中央のCIマークにイルミネーション機能を追加。また、ダイナミック・ターンシグナルがセット装着されるIQライトはハイビームの照射距離が500mに伸びたため、夜道での安心感アップにつながるはずだ。

インテリアではメーターパネルとの一体感を重視して10インチに設計されていたタッチ式インフォテイメント画面が12.9インチに拡大された。一体感は損なわれたが、別置き画面として存在感が増し、表示が大きくなって視認性と操作性が向上した。
その下には空調の温度およびオーディオ音量が調整できる静電式スライダーバーは継承されており、バックライトが追加されて夜間の操作性が高まった。

ドライバーにとって嬉しいのは、ステアリングスイッチが静電式から一般的な物理スイッチに戻されたことだ。静電式は意図せず触れてしまった時に操作が行われてしまうだけでなく、操作時の反応(例えば振動)もなくて、わかりにくさが難点だった。

1L直3ターボ(110ps/200Nm)と1.5L直4ターボ(150ps/250Nm)が用意されていたマイルドHEVのうち、前者は1.5L直4ターボのディチューン版(116ps/220Nm)に置き換えられた。直3ユニットと比べてスムーズ&静かで、ツインクラッチ式の7速DSGと相まって街中試乗で不満を覚えることはなかった。ベルト駆動式スターター兼ジェネレーターのおかげでエンジンは滑らかに始動し、アクセルOFF時にはタコメーターがゼロに落ちてコースティング機能が稼働していることも確認できる。
推しいのはパドルシフトを使ってシフトダウン→減速する際、一瞬ギアが抜けたように空走感を伴うことだ。減速したい意図で操作しているのに前進方向のGが生じるため、チグハグ感があってスッキリしない。

試乗したマイルドHEVは16インチタイヤ装着車で、シートも含めて乗り心地は意外とマイルド。飾りっ気の少ないドイツ発祥のクルマと言えば無愛想なイメージが強いが、そんな先入観を覆される結果となった。これならファミリーカーとして選んでも後悔することはないだろう。

2L直4ディーゼルターボ(150ps/360Nm)搭載車は前出のマイルドHEVより車重が130kg重く、18インチタイヤを履いていたこともあって重厚感のある走りを堪能。太いトルクのおかげで発進時から力強く、ドッシリと地に足のついた印象が強い。
また、首都高の渋滞中に運転支援システムを試したところ、こちらも違和感なく快適に追走することができた。

純正ナビなどのオプションは選べないものの、安全装備やステアリングヒーターが標準装備されるエントリーモデルの「アクティブ・ベーシック」は349万9000円という戦略的な価格設定で登場した。逆に、ひとつ上の「アクティブ」には自動ハイビーム、スマートエントリー&スタート、オートアラーム、空調の3ゾーン(運転席/助手席/後席)設定が加わるだけで30万円も上がって 379万9000円に。このことからも、輸入元はエントリー価格を抑えて消費者を呼び込む戦略を取ったことが伝わってくる。

https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/golf.html

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