スクープ!
ダイハツが大量リコールを届出へ
平成28年から30年にかけて生産されたダイハツ車18万8000台あまりについて、本日5日午後にリコールが発表される見通しだ。車種は先代のムーヴ・キャンバスや先代のハイゼットカーゴなど。
フロントサスペンションのコイルスプリングの塗料が剥げやすいため腐食が進むことで、スプリングが折損する恐れがある。スプリングの折損により、タイヤのパンクやバーストに至る危険性がある。対象車両のコイルスブリングを対策品と交換する。
問題はどの程度で改修が終わるかだ。ダイハツ工業はサブディーラーの販売比率が高いことで知られている。が、昨年来の同社不祥事により、ディーラーもサブディーラーも市場措置の対応に追われている。年末は年始休みも重なり、各販社にとっても業務量が増える。ダイハツ工業はサービス現場の対応をどのように考えているのだろうか。「系列ディーラーも人手不足を理由に安易に協力会社にリコール改修を依頼してくる」(事情通)との情報も寄せられている。
加えて作業工賃の低さだ。「スプリングの左右を変えて工賃は一万円ほどです。ダイハツの品質部門は作業の難易度を全く分かっていない。本来なら設定金額の2倍でも足りません」と事情通は憤る。ダイハツ側は作業時間を90分から100分としているが、「実際には2時間半程度はかかる」(事情通)との指摘がある。
国も、ダイハツ工業も、系列ディーラーも、ダイハツの販売とサービスを支えるサブディーラーへのリスペクトが足らないのではないか。国交省審査・リコール課には現場の状況を伝えた。ダイハツ工業広報部には「整備現場は悲鳴をあげている。年末でお金をもらっても仕事する人がいない」と小さな整備工場経営者からは泣き声が響く。デンソーの燃料ポンプ改修もそうだったが、「お金を払えば誰かがやる」とメーカーや系列ディーラーは短絡しがちだ。販売業界の経営者は「基盤収益」確保のため、サービス売上げを重視する。が、作業するのは現場の「人」だ。「残業の毎日で死にたい」との嘆きをどうぞ受け止めて欲しい」と話した。
なお、国交大臣会見での質問も投げておいた。「デンソーやトヨタグループを中心に市場措置の多発により、ディーラー、専業工場のサービス現場が悲鳴をあげている。残業続きで離職者も相次いでいる。国は市場措置に際して、●原因究明●対策部品調達をメーカーに求めるが、加えて●作業工数、支払額、現場が混乱しないレベルの改修メドまで、把握すべきではないか」の内容だ。
ダイハツ工業は少なくとも工賃の見直しを作業開始前に行うべきだろう。
取材 文/神領貢(マガジンx編集長)

