国内で根強いファンに支持されているカングーは南米でも生産されているが、マザー工場はフランス北端のモブージュにある。そのモブージュ工場でのカングーの累計生産台数が400万台を突破した。
1969年から操業しているモブージュ工場ではルノー12や同18、フエゴなどが生産されてきた。現在は1日あたり400台のカングーが組み立てられている。時間に換算すると90秒に1台のペースでラインオフしている。
モブージュ工場には94年に当時ヨーロッパ最大級のプレス設備が導入され、カングーの生産は97年に始まった。100万台目は02年に、200万台目は07年にラインオフした。
モデルチェンジを経て11年には電気自動車(BEV)バージョンの生産がスタート。これまでBEV版は9万台が生産され、21年からは電池の生産も同工場で行われている。
22年に欧州でバン・オブ・ザ・イヤーを受賞したカングーは現地で法人ユースが多く、各々のコーポレートカラーに合わせて100色以上が生産されている。その中から選ばれた色が国内で繰り返し限定販売されてきたことはカングー・ファンなら誰もが知っているだろう。
塗装工程の習熟にはVRシミュレーターが導入されていて工員は実際の塗料を使うことなく塗装技術を身につける練習を実践しているという。
なかでも郵政が好んでカングーを活用しており、フランスに限らず、ノルウェー、スイス、スペイン、ポルトガル、さらにはオーストラリアでも郵便配達に使われている。そして記念すべき400万台目はフランス郵政のラ・ポストに贈呈された。
また、郵便物だけでなく、ローマ教皇の移動車両にも起用されている。
現行モデルにも3列シートのロング版が設定されており、日本には早ければ24年にも投入される可能性が高い。実現すれば国内で3列シート版のカングーが正規販売されるのは初めて。
フランス本社も「なぜ!?」と注目するほどカングーは日本のファンに支持されており、ユーザーが一堂に会するカングー・ジャンボリーはルノー・ジャポンが主催する代表的なイベントにまで成長した。今年10月に開催された時はあいにくの雨模様だったが、1350台のカングーを含む1502台のクルマが来場して盛り上がった。