BMWが国内公道で燃料電池車を実証実験

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DSCN9585BMWは約4年の歳月をかけて開発してきた燃料電池車(FCEV)の実証実験を日本の公道で実施する。期間は今年の末まで。

同社は液体水素を使ったFCEVを07年に日本に持ち込んで実証実験を行った。その後、11年にトヨタと手を組んでFCEVの基礎研究を共同で行ってきた。
実証実験のために製作されたiX5ハイドロジェンはX5をベースにしたFCEVで、燃料電池のセルにはトヨタのものが使われているが、それらを集積したスタックは自社開発。モーターはiXと共有され、駆動システム全体の最高出力は401hpに達する。2本の水素タンクが搭載されていて6kgの気体水素を充填できる。0→100km/h発進加速タイムは6秒以下、航続距離は504kmをマーク。
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DSCN9579BMWグループで水素燃料電池テクノロジーのプロジェクト本部長を務めているユルゲン・グルドナーさんは、電気自動車(BEV)の普及が始まっているものの、第2のエネルギーも必要としてFCEVの重要性を説明した。以前から言われているように、重いクルマほど有益性が高いことにも言及。さらに、車両組み立てに必要な部品を運ぶトラックも将来的には水素で走らせる構想を練っていることも紹介した。
BEVの充電インフラはBEVの台数が増えると大電力対応やグリッド化などコスト負担が増えるが、水素ステーションのコスト負担はFCEVの台数に左右されにくく、将来的にはBEVの充電インフラより安く済むとの試算もあるという。
日本では安全上の理由もあってユーザーが自ら水素は充填できないが、ヨーロッパでは自分で行えるとのこと。そのヨーロッパでは2030年末までに200km間隔で水素ステーションを設置する計画も進んでいる。
太陽光や風力での発電は天候によって上手くできない日もあるが、水素なら精製しておいたものを使うことができる。これは電気よりも水素のほうが長期にわたって貯めておける長所があるから。
このほか、ユルゲンさんはBEVと比べてFCEVはレアメタルの使用量が少なく済む点もメリットとして紹介した。

国内で実証実験に使われるiX5ハイドロジェンは3台。公道テストならではのリアルワールドからのフィードバックを得られることが期待されている。リムジンサービスに加え、教育関連NPOとのコラボで水素社会のメリットも広くアピールされていく。

トヨタがFCEVを市販化してから8年が経過しており、いまさら、やっと、といった感も否めないが、ヨーロッパではeフューエル(合成燃料)を認める方針が打ち出されるなどBEV一辺倒からの見直しも始まった。日本での実証実験は、こうした背景も関係しているのかもしれない。

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