ホンダ直資「カーズ東京中央」に不正車検疑う国の臨時監査入る
ホンダカーズ東京中央(東京都世田谷区以下カーズ東京中央)と言えば、ホンダ系列最大規模かつホンダ直資本の販売会社だ。過去にはホンダの国内販売責任者も輩出している。新車拠点62店舗、中古車拠点10店舗を構える。2020年度の売上高690億円、従業員数は1468人(2021年9月現在・数字は同社HPより)の大所帯だ。メーカー直資本の販売会社として地場ディーラーのお手本となるべき存在である。
そのカーズ東京中央の王子店(北区王子)に、今年1月18日の火曜日の朝10時、臨時監査が入った。「国交省関東運輸局による不正車検の証拠集め」(同社事情通)と見られる。臨時監査はカーズ東京中央に通告の上実施された。証拠の隠滅などはなかったのだろうか。
記者はいち早くこの情報をつかんだ。情報の真偽についてメーカーであるホンダとカーズ東京中央に尋ねた。
ホンダ「監査は事実」
メーカーのホンダは、「運輸支局の監査が入ったのは事実。(整備部門で)不適切な事案があったようだ」(広報部)と説明する。
カーズ東京中央の説明は以下だ。「1月18日に品川支局の監査があったのは事実。過去2年分の指定整備記録簿を支局の担当官に提出した。車検整備について疑義が生じている。当局の調査にはしっかり対応していきたい。まだ資料を提出したばかりなので、詳細については答えられない」(同社中古車部)。なお、記者の取材に対しては真摯に対応してくれた。
2年間で1000台超の
不正車検の可能性も
カーズ東京中央の新車販売拠点62店舗のうち、王子店は「中規模のお店。月間の車検台数は60台程度」(同)という。前出事情通によれば、「不正車検の台数は2年間で1000台を超えるのではないか」と話す。
不正の手口は、「前整備後の車検未実施、検査項目の省略やデータの改ざん、同一性確認の不備、消耗部品を交換しないなど」(同)。トヨタ自動車系列販売店の不正車検の手口と酷似している。
事情通が続ける。「実は昨年末の段階で関東運輸局から不正車検の可能性について連絡があったようです。幹部らは対応策を練っていた模様。不正を働いたとされる検査員は，
職を解かれ本社サービス部付けとなっています」。
野沢店も不正車検で
行政処分されていた
実はカーズ東京中央の野沢店(世田谷区野沢)でも不正車検その他で当局の処分を受けている。昨年7月のことだ。処分内容と違反行為が国交省のネガティブ情報に掲示されている。
- 健全な経営でない。
- 検査員の証明を虚偽記載した。
- 点検整備のすべてを実施せず適合証を交付した。
- 指定整備記録簿の虚偽記載をした。
- 立入検査の質問に対し虚偽の陳述をした。
など、見ているこちらが情けなくなる違反事項の数々が並ぶ。こちらは180日間の指定取り消しが今年1月8日にようやく解けたばかりだ。
国交省自動車局整備課は、「監査に入ったかどうかも含めてお答えできない」とするが、今後、押収された記録簿を精査した上で、何らかの処分が下されることになるのだろう。
事情通が言う。「トヨタさんと同じです。基盤収益確保を経営側から強く言われた結果、少ない人数で整備のノルマをこなさなければならない。人手不足と人員不足が招いた必然です。これは拠点検査員ひとりの問題ではありません。野沢店がそうであったように、今後、王子店以外でも同様の不正事案が発覚する可能性があります」。ホンダはこの事態を受けてどう対応するのか。取材を続けなければならない。
https://www.mlit.go.jp/nega-inf/cgi-bin/search.cgi?jigyoubunya=jidousyaseibi&EID=search&no=109
https://www.mlit.go.jp/nega-inf/cgi-bin/search.cgi?jigyoubunya=jidousyaseibi&EID=search&no=110
左の写真2枚が王子店(本誌撮影)
右の写真が野沢店(同社HPより)
