エレガント/スポーティ/アクティブ。3つの方向性を打ち出したCX-5

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全身スカイアクティブの第1弾として2011年に発売され、17年のモデルチェンジで現行2代目に生まれ変わったCX-5はブランド誕生からのグローバル累計販売台数が300万台を突破した。これまで他のマツダ車と同じく「上質」「洗練」をキーワードに掲げて販売されてきたが、SUVマーケットの拡大で競合車が増えるにつれてタフさ・ラギッド感の不足があらわになった。そこで11月8日に国内発表された最新モデルでは多彩なニーズに対応できるよう、明確に異なる3つのテイストが打ち出された。

CX5_field1新たに登場した「フィールド・ジャーニー」は、これまで存在しなかった方向性の持ち主だ。アンダーガード風のガーニッシュ類が装着され、アウトドア用品を連想させるライムグリーンのアクセントが内外装に配されている点が面白い。水拭き可能なラゲッジ床面ボードと床下ボックスも同グレードだけの特徴に挙げられる。駆動方式が4WDに限られる点からも、キャラクターが明確に定まっていることがわかる。税込み価格は2LスカイアクティブG(ガソリン)が323.4万円、2.2LスカイアクティブD(ディーゼル)が355.3万円。
CX-5の開発を取りまとめている主査の松岡英樹さんは「いままでとは違う路線で新規ユーザーを獲得したい」「現行モデルはかしこまった印象が強いので、(代替えを敬遠してきた)初代ユーザーも興味を示してくれるのではないか」と意気込みを語る。また、ブランド推進部の二宮誠二さんは事前に社内で披露した際に「社員の中でも若い人が反応してくれた」と振り返る。
このフィールド・ジャーニーで目を引くライムグリーンのアクセントについて、デザイン本部でカラー&トリムデザイングループに所属している狩野 梓さんは、アウトドア用品でサンドカラーにアクセントが配されたモノが増えていることに着目したという。その上で「広範囲に使いすぎるとチープな印象になったため、採用部位を絞り込んだ」「どのボディカラーにも合うように検討と色のチューニングを行った」と話す。
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「スポーツ・アピアランス」は、発売直後にCX-5の販売構成比で30%を記録するほど人気を集めたブラックトーン・エディションを昇華させたモデル。赤ステッチ入り本革シートが採用され、ブラックトーン・エディションの内装に物足りなさを感じる消費者に売り込まれる。フロントグリルに配されるアクセントは初代ロードスターと同じクラシックレッドで、ヘリテージを重んじる姿勢と遊びゴコロが感じられる。また、ホイールアーチモールとボディ下部のガーニッシュ類が樹脂仕上げからピアノブラックに変わっている点も見逃せない。税込み価格は2.5LスカイアクティブG(ガソリン)の2WDが325.6万円、同4WDが348.7万円、2.2LスカイアクティブD(ディーゼル)の2WDが357.5万円、同4WDが380.6万円。
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ディープレッドの本革シートと本杢パネルが自慢の「エクスクルーシブ・モード」は外観のガーニッシュ類をボディ同色に変更することでエレガントさに磨きがかかった。税込み価格は2.5LスカイアクティブG(ガソリン)の2WDが352.55万円、同4WDが375.65万円、6速MTも同額で選べる2.2LスカイアクティブD(ディーゼル)の2WDが384.45万円、同4WDが407.55万円。
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ラゲッジスペースは使い勝手向上を狙い、全グレードで床面ボードが5cmほど上げられて開口部とツライチ(しかも前後で高さを変えられるよう2分割式)に変わった。床下ボックスはパンク修理キットの収納位置を見直すことで容量が20L増加。また、要望の多かった電動ハッチゲートのハンズフリー化が実現したのも朗報で、バンパー内にキックセンサーが設けられたため、全長は30mm伸びた(伸び代の一部はフロントバンパーの造形に充当)。
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CX5_lampエクステリアはマツダ3から提唱されている『引き算の美学』『Car as Art』に基づき、キャラクターラインに頼らないデザインを追求。例えば、一新されたフロントバンパーは映り込みによって移ろいを感じさせる造形に、前後ランプ類は力強さとワイド感を感じさせる左右4つの横長楕円にリニューアルされた。
アシスタントチーフデザイナーの椿 貴紀さんは「ラギッドな印象の競合車が増えてきて、CX-5は“線の細さ”を感じるようになった。今回ランプ類を変えることで力強さにつながるワイド感を追求。それでもポジションランプの内側を少し持ち上げることで従来からの丸の印象も残した」と説明する。

新世代アーキテクチャーの思想が反映されてドライブフィールの向上が図られたのもポイントだ。繰り返されてきた商品改良で基本性能は高いレベルにあるものの、今回は車体フレームに減衰構造を取り入れ、シートの取り付け剛性やサスペンションを見直すことでクルマと乗員の一体感を強化。結果的に操縦安定性や乗り心地、NVHが改善されたという。

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