タクシー車内での「顔無断撮影」問題
国会で取り上げられるも
業界から実態調査報告まだ!!
本誌6月号p41に掲載したタクシーの車載タブレットによるお客の顔無断撮影。「紐付けをしていなかったから問題ない」「蓄積していなかったから問題ない」「規約の範囲で情報を第三者に提供していただけだ」。
で、これらはすべて4月までに是正したと釈明する。全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋会長が経営するジャパンタクシーは、本誌が突っ込んだ取材をかけるとメールにも電話にも出ない無視を決め込んだ。近いうちにアポなし取材をやろうと思っている。当事者には反省のカケラもない中、タクシー事業者は、情報保護委員会の行政指導による問題発覚を受けてレンズにビニールテープを貼ったり、音声を絞ったりするなど、独自の対応を行っている。
タブレット広告の音声を消していたタクシーの運転手さんに同乗取材した。その会社では冠婚葬祭の送り迎えが多いそうで、とくに「斎場で音が出ているのはどうなのか?位牌を持って故人を悼みシクシク泣いていらっしゃる親族の顔が撮られていたのはおかしいと思う」と話してくれた。なお、会社からは「問題があった!からと言われただけ」と説明する。
タクシーは公共交通の位置づけだからこそ、競争から除外させるための車両の参入規制がかけられている。利用者だって、バスや電車に比べて割高でもタクシーに乗るのは速達性とプラベートスペースを確保できるからだろう。そのプライバシーがバレバレだったのだ。しかも利用者に何の断りもなく!!
本誌校了間際の5月15日には国会で本件に関する質問もあった。国交省自動車局旅客課の担当者は、「実態把握については、国会での答弁のとおり、今月中旬を目途としておりますが、現時点において全タク連にて調査しているところです。また、本件について所掌している個人情報保護委員会とも連携して対応することとなっております。結果の報告があれば、精査の上、内容如何によってはさらに追加で詳細な調査を要する場合も考えられます」と説明する。
ということは、すでに「5月中旬」なのに、いまだタクシー業界からは実態について国に報告があげられていないということだ。当事者であるジャパンタクシーは個人情報保護をなんだと思っているのか。自分たちのマーケティングさえできればそれで良いのか。タクシー事業者も利便性と引き換えにアプリ会社の広告にはまったく無関心だった。国には 個人情報の大切さをしっかり認識し、必要な対策をとってもらわなければならない。