スズキ202万台リコール、整備業者のリコール改修工賃1台3万円、来年3月まで実施でさらに4500円獲得
本誌の調べでリコール改修を引き受ける業販店の手数料は一律3万円(消費税別・以下同じ)であることが分かった。さらに2020年3月末までにリコール改修が終了した分については、3万円とは別途4500円が支払われることも分かった。
なお、スズキは先の2018年度業績見通しの下方修正で、202万台あまりのリコール改修にかかる特別損失813億円と発表している。1台あたり4万円程度の計算だ。
ぶっちゃけ!!これは経営状態が思わしくない整備業販店にとっては特需そのものである。車検の前整備にあたる法定24カ月点検の工賃(部品代、検査費用や公租公課は別)の実勢価格は1万5000円程度から3万円程度と言われる。
顧客請求ベースのレバーレート(時間当たり工賃)は、長らく上がっておらず、専業工場のそれはいまでも6000円から7000円程度で推移している。24カ月定期点検は大体2時間程度かかるのが普通だ。「スズキとしては3万円あれば足りるでしょ」(別の整備業経営者)ということらしい。なお、スズキはスバルや日産のように顧客に見舞金の趣旨の支払いをせず、「他の市場措置同様にリコール作業としてお客様にはご説明させていただいております」(広報部)とする。
「手抜き整備」の懸念
登録、届出後、3年以内の初回車検の点検整備である。専業店の多くはメーカー系列ディーラーが手放した「3回目以降の継続車検が仕事の中心」(同)。クルマの劣化が進んでいない、走行距離も延びていない初回車検車を、普段より高額で受注できる「またとないチャンス」(同)なのである。しかも台数は200万台超。
この機を逃さず、「スズキ車のユーザーに営業をかけるお店が多数でてくるでしょう。中には工賃目当てで、きっちりと作業しない店もあるのではないか」(業界に詳しい事情通)との見方もある。スズキにはしっかり目配りし、スズキユーザーの利用者に対する安心安全を担保してもらいたいものだ。本誌では業販店頼みのスズキ車リコール改修について、5月25日発売のマガジンX7月号で詳報する予定だ。
取材・文/神領 貢(マガジンX編集長)