ヤマハ発動機、トレースエラーは
「個々人の問題ではなく経営の問題」
ヤマハ発動機は、一連の完成検査不正問題を受けた国交省の報告要請を受け、排ガスの抜き取り検査について社内調査を実施した。その結果、ログが残っていた平成28年1月から今年7月までの期間で、7件のトレースエラーがあったにもかかわらず、検査を合格としていた事例があったことを明らかにした。
質疑応答。
Q 対象車種は?
A リコールに関して、7件を全データを検証した結果、法規に適合している。除外した類似車種を検証したが、法規に適合していた。対象車種は7車種。
Q トレーステストについて。
A30分間、モニターを見ながらモードのトレースをするのは高い技能が必要。私がやったらまぐできません。
Q原付きは入っていないのか?
A 今回は型式指定車について確認を行った。引き続き軽二輪車、原付車についても確認していく。
Q 不正の原因は?
A 法規を読み解いて品質基準を作る。その際、トレースエラーがの項目がなかつた。上位の基準書に明記されていなかったので、作業手順書にも記載されなかった。
Q 抜き取り頻度は?
Aおおよそ生産量の1パーセント程度です。
Q 現場と管理者、経営陣の溝はないのか?
A 評価は難しいが、「私がヤマハ」活動なども行っており、各層で共有を行なっている。社長も副社長も月に一度必ず世界のどこかの工場を回っている。
Q いつ気がついたのか?
A 他社の例を見て、トレースエラーの可能性に気がついた。
Q ブランドへの影響について。
A 品質を保証する分野に欠陥があったのを現場がフォローしてくれていた恰好。過去の中でも十分基準内にあったと推定される。お客様に丁寧に説明してご理解をいただきたいと思っている、悪いことをしていると言う認識はなかった。プロセスに欠陥があった。速やかに仕組みのレベルを上げて不信感をなくすように努力したい。
Q 社内の品質基準を作ったのはいつか?
A7件のトレースエラーと同じ在庫で逸脱した場合とそうでない場合の再現テストを行なった。1000分の1くらいの差。創業者の「品質絶対」を守ってきた。必要に応じてやってきた。2016年WMTCモードに社内の品質基準を反映させなければならないのにやっていなかった。
トレースエラーの判定について決まったものは法的にはない。あるシステムなり、プログラムで判定しないとダメなんだろうと。ルールがなくても2パーセントで済んだのは検査員の技量のおかげだろうと思っている。
Q 制度自体について。
A 国際基準調和で統一しましょうとのルール。
Q 現場に管理者はいたのか?
A管理者はキチンといました。上位基準に適切な形とタイミングで織り込むことがなかった。ルール自体にトレースエラーが欠落していた。検査員は7名。メンバーによるバラツキがデータにあるとは思っていない。
Q ルールに則っていない。認識が甘かったのでは?
Aご指摘のとおりだと思います。法規を社内のルールに置き換える時に、抜けがない形でルールを構築できるかについて、早急に対策をうちたい。
Q 逸脱時間については認識がなかったのか?
A はい。
Q 輸出車については?
A 特段の措置は考えていない。
関係者の処分は考えていない。個々人の問題というよりも経営の問題。まずは再発防止、その他に問題ないか、もう一度網をかける。