トヨタがレアアースであるネオジムの使用量を削減した新しい磁石の開発を進めていることを公表した。
モーターは電動系車両が普及していく際に欠かせないコンポーネンツであるが、その磁石にはネオジムなどのレアアースが使われていて将来ひっ迫する懸念もある。
そこでトヨタは、ネオジムを採掘する際に併せて採れるランタンとセリウムを代替え素材として用いることに着目した。ランタンとセリウムは埋蔵量が多く、価格も安い点が調達のメリットに挙げられる。ただし、これをそのままネオジムと置き換えても磁力や耐熱性で劣ってしまい、モーターの性能が十分に確保できない課題があった。
これを克服するために:
1)磁石の粒を現在(5μm)の10分の1(0.25μm)に微細化して粒を仕切る面積を拡大。これによって熱を帯びた状態でも磁力を維持。
2)粒を二層構造化してネオジムの濃い層を表面に作って磁力を保持。逆に粒の内部はネオジムの使用量を減らして代替素材を混ぜる。
3)その代替素材としてランタンとセリウムを活用。十分な特性を確保するために1:3の比率で混ぜる。
の3点をポイントとして開発。いずれも特許を出願済みだ。
モーターが高熱を帯びる駆動用ではネオジムを20%程度、電動パワステ用など要求性能が低いものに関しては50%程度まで減らせるという。2020年代前半にまずパワステ用の小さいものを、信頼性の確認に年月を要する駆動用は今後10年以内に実用化をめざすとのこと。
発表された技術はトヨタが独自に開発してきたものだが、磁石への活用は専業メーカーに任せてトヨタ自身がモーター用の磁石を製造する考えはないようだ。