確報!西川社長、「現状を挽回するのが私の使命」
日産自動車は、11月17日、「型式指定に関する業務等の改善について」弁護士らで構成する第三者機関による調査をもとにした報告を国交省に行った。
●オートワークス京都を除く国内5工場で、テスター検査と呼ばれる工程で補助検査員による完成検査が常態化していた。
●多くの工場では、1990年代から、栃木工場では1979年から違反状態が続いていた可能性がある。●9月18日の国交省による日産車体への立ち入り検査後も上記5工場で、改善が不十分だった。
●完成検査員の教育時間が短縮されていた。
●確認試験において不正が行われていた。
●国交省の立ち入り検査時に不適切な行為が行われていた。
ことなどが確認された。①完成検査員の不足②完成検査制度に対する規範意識の薄さ③管理者の認識不足④標準作業書と完成検査票、また基準書と作業実態に乖離等があった。
⑤現場と管理者の間に意識の溝があった。などを原因と指摘している。
今後は添付の図表などにある業務改善策を徹底してやっていくとしている。
西川社長の説明。
工場の次長、課長が認識していた、あるいは工場をまたいで行われていた事実は確認されていない。調査結果を受け止めれば、管理層以上の認識はなかった。なぜそういうことをしたのか明確な調査結果はなかった。
現場を熟知する人と非常に大きなギャップがあった。習慣として受け継がれていた。大変な事態を招くという認識が薄かった。
現場で起きたことだから現場を正せば良いという問題ではない。完成検査の意味、重要性に対する認識を徹底していかなければならない。
長年、この状態を放置していたことが大きな責任。我々が主体的に取り組んでいかなければならない。
過去から長きに渡る現場の習慣、役員、管理職の認識の欠如。完成検査遵守の重要性を認識していなかった経営陣。
目標だけがひとり歩きする可能性は十分ある。ゴーン以前から行われていた。重要なの課題であると認識して取り組んでいきたい。過去からの習慣を断ち切ること、要因として考えられる様々なものを改善して、将来に向けて改善していく。
私が中心となって進めていく6カ年計画の中でやっていく。月額報酬の一部を10月から年度末まで自主的に減額する。
現体制に国内5工場を統括する常務を置く。これにより再発防止を徹底したい。
年明け、年度内を目処に関係する部門の強化を行う。事実問題として対応していく。安定した工場運営、検査運営をやっていくための体制づくりを優先してやっていきたい。
生産、出荷を確実に進めていく。リコールを出来るだけ迅速に進める。あらゆる接点を通じて信頼回復に努めていく。ぜひ私たちに挽回の機会を与えていただきたい。
質疑応答。
Q 10月2日の会見では人手不足は関係ないと言ったが?
A 始まったのはかなり古くから。人手不足が原因とは決めつけにくい。完成検査員の任用と現場の実態の乖離を長年の間放置したことが問題。数は足りているが、要員としては足りていない。
ゴーンマネジメントは、多少数字がひとり歩きする。上意下達の風土が強い。隔離された部署では起きやすいのかなぁ。
これまで経験してこなかったわけではない。目標を設定しても丸投げはしない。マネジメントタスクとしての仕事がどれだけできているか。それぞれのレベルのリーダーの資質に負うところが大きい。日本ではできていたと思っていたが、手薄になっていたことは否定できない。そういう前提に立って評価していきたい。
Q ガバナンスの意識が低かったのではないか。
A 大きく言えば、遵法の取り組みが足らなかった。ガバナンスの点では、一番歴史のある日本が、日常化している部分で見ていきたい。
独立社外役員ひとりの現状については出来るだけ早く増やしていきたい。3層構造の監査に加えて、外部の目が絶えず日常的にやるのは必要ないステップだと認識している。
Q 役員の処分の内容について。
A いまここで中身を話すのは差し控えたい。挽回を含めて取締役会で議論いただきたい。
Q 内部告発体制の改善について。
風通しの悪い職場、現実的でない職場、言っても聞いてくれない職場では、内部通報が機能しない。システムはかなり機能していると思うが、リーダーによってかなり違う。反省するところ大。係長クラスを課長に登用していく中で、徐々に対策を打っていかないと改善しない。
2回目の不適切なことが明らかになったのは内部通報による。内部通報の仕組みは整備している。周知徹底できていないことがわかった。色々な仕掛けをしていきたい。
Q 栃木工場について。
V37のウェルカムランプを消灯するの作業票に記載がなかった。国交省の監査を受けて是正した。
Q 何を反省したのか?
A 突然のことだった。よくよく中身を見てみると、とくに本来やるべきことをやっていないと起きるな、と。現実とギャップがある状態を放置しておくと、忸怩たるものがあるのは、問題提起するような状況を作れなかったのか。当時のゴーンCEO時代には、下から自然にモノゴトが上がってくるような仕組みを作って結果を出してきた。仕組みの中に問題があったのか、まだら模様を放置せず、ひとつひとつ確実に手を打っていかないと、ベースの部分で足元をすくわれるなと思った。
Q ゴーンさんはなんと言っているのか?
A 第三者委員会からのインタビューは受けている。取締役会の議長ですから定期的には報告している。実際に起きた事象については、過去のことはさておき、今のCEOはあなたでしょ、なぜ手を挙げてくれなかったのか、それが彼にとっての大きな疑問。
Q ISO9001か取り消された。品質保証部門は何をしていたのか?
A 工程の中で作り込むようになっている。自動化は十分には考えられる。そうは言っても、やりますよと言ったことができていなかった。いくら品質は大丈夫ですよと言ってもだめ。
工場の品質部門は製造部門に所属している。本社の品質部門で、社内の内部監査で見つけられなかったのは残念。三層構造ということで、工場の品質部門が監査をやる。現在は1週間に一度抜き打ちで行っている。ISO取り消しは大変重く受け止めている。認証を取り戻したいと思っている。
Q 隠ぺい行為について。
A 過去に遡って特定するのは難しい。実際に事案としてごく最近起こったことは特定されている。検証と調査を行なっている。厳正に対処したい。9月26日の件については、今日まで私たちから具体的に報告をする機会がなかった。個人の話なのでこれ以上は控える。
Q ゴーン会長の責任をどう捉えているのか?
A 人手不足は当社に限ったことではない。完成検査員に絞って人の配置をしてこなかったのは経営の責任。ゴーン経営が直接的な問題ではないと思っている。まだらが残っているのは、私の責任でやっていく。執行責任は私にあるので、私が説明している。
Q 経営責任について。
A 現状の経営陣で、この状態を立て直していくのが一番の責任。もたつきに対する結果責任を負っている。間接的なもの結果責任を申し上げている。必要な役員体制の変更はやっていく。過去の責任を問うのは難しい。
Q 近年の生産拡大に問題はなかったのか?
A 過去にあったことをとらわれずにやる。報酬の件は今日の場では控えたい。
Q 生産ラインの正常化はいつになるのか?
A 京都以外はラインスピードを落としている。平常時の4割から8割のスピード。今年末から今年度いっぱいと読んでいるが、習熟度合いなどによるかなぁと。
信頼回復の第一歩は製品をお届けする。リコールを着実に実施する中で、お客様の厳しい言葉ももらいながらやっていくしかないだろう。
Q 過去の品質に問題ないという根拠は?
A 完成検査不正に起因する品質問題はないと認識している。現行制度をちゃんとやってこなかったことに問題がある。
追浜工場では期間従業員を使っている。完成検査については、出来る限り優秀な方は正規従業員に登用していく。今回を契機に他の部門でもチェックしている。
Q 自身の進退は?
A 責任はあくまでこの状態からの挽回。果たすことが責任と尽きる。
Q 社長に恋々としているのではないか?と質問した。
A 私の使命として、出来るだけ今の状態を挽回すること。取締役会から信任を得て執行を行なっている。この先のことを考えているわけではない。
Q ゴーンさんの経営手法が問題でなければ、何が問題なのか?
A ゴーン社長が就任する以前からの問題。問題を放置することが問題になる。リーダー側を変えていかないと、また問題が起きるのではないかなぁと思う。
Q リコール対象車両は安全なのか?
A 不安を招くもの。その上でリコールした。出来るだけ早く対応したい。
Q 妨害行為について。
A 当然公表すべき。事案としてハッキリしているものは厳正に対処していく。
Q ILUの見極めについて。
A 見極めの基準に従って、Lに達している補助検査員を一人で完成検査に従事していた。Lに達しているけども、法令に違反しているとの認識があったので言い出せなかった。
Q 2回目のリコールについて。
A 最初のリコールが起こった時の認識が非常に甘かった。今覚えば、工場を止めて再点検した上であれば、見つけることができたかも知れない。その部分の判断を間違えたなぁと反省している。
Q 他の役員の処分は?
A 貴重なご意見としてうかがっておく。今を挽回するために力を尽くしていく。
Q 生産停止している間に影響を受けた補償対応は?
A それぞれ進めている。大変多くのサプライヤーにも迷惑をかけた。話があれば一点一点解決していきたい。販社については我々で誠意を持って対応させていただく。中長期的にお客様の信頼を取り戻すのか、ブランドをどのように盛り上げていくのか検討している最中。従業員は平常通り出勤していた。
Q 事態が大きくなったことの反省は?
A コトの対応と収集に手間取った。初動で手こずったなぁ、時間をかけてしまったなぁと感じている。予期をしていなかった事案。我々の責任。