三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は4月25日(水)、協業するIT企業も参加して社内のIT戦略について説明する「FUSO Digital Forum」を開催した。
MFTBCおよびDTA(ダイムラー・トラックス・アジア)では、社内のデジタル化によって社員や顧客、デバイス、製品であるトラックや工場などをシームレスに接続することで、生産性を高め、より高い付加価値を提供するビジネス変革「Connected X」戦略を打ち出し、2019年6月までに100%デジタルマニュファクチュアリングカンパニーになることを目標を掲げて2017年7月からプロジェクトを開始している。
昨今の自動車業界は、電動化によるコネクテッド車両やビッグデータ活用、自動運転技術、AIやロボティクス技術を用いたスマートファクトリーなど、これまでにはない早さで新しい技術が進歩しており、会社組織として新たな変革が求められてきている。MFTBCでは次の時代のテクノロジーリーダーとなるべく、デジタル化によって社内に破壊的イノベーションを起こそうとしている。
具体的には、昨年18年振りにフルモデルチェンジした大型トラック・スーパーグレートにテレマティクス機能「トラックコネクト」を標準搭載して、車両の状態をリアルタイムで感知する遠隔診断、24時間サポート体制を築いた。また、こうしたコネクテッド車両から得られたビッグデータの活用や市場情報の早期収集・分析を品質マネージメント本部にて昨年から行っている。このようなデジタルトランスフォーメーション推進は、顧客とのより良い関係性の構築はもちろんのこと、社員の生産性向上や業務の効率化などさまざまなメリットをもたらすものと考え、デジタル化に関する幅広い取り組みを推進しているのである。
その主なプロジェクトは3つ。先述の運行管理システム「トラックコネクト」もその一つであるが、残る二つは「AIを活用したチャットボットの導入」と「マイクロソフト・ホロレンズを活用した開発やメンテナンスの変革」だ。
チャットボットとはチャット(対話)するボット(ロボット)という意味で、「お問い合わせ対応」「注文対応」など、これまで人間が対応していた作業を自動的に行うプログラムのことであり、DTAでは顧客向けの問い合わせ対応やドライバーとメカニックの対話など、チャットボットの全社への展開を行い、顧客サービス向上や業務の効率化を図る。
マイクロソフト・ホロレンズは、マイクロソフト社のWindows10を搭載した世界初の自己完結型ホログラフィック コンピューターのことで、現実空間と仮想空間を重ね合わせた新たな空間を構築するMixed Reality(複合現実)テクノロジーのこと。離れた地域にいるエンジニアや設計者が同時に視覚化された3Dデータを確認して車両の設計開発ができるなど、これまでにない新しい働き方ができるようになる。
DTAでは、2020年までに10万台のトラックとすべての工場をコネクテッド化して接続したいとしている。また、年間10億を超えるメッセージと年間ペタバイトを超えるIoTデータを処理するために2020年までに自社データセンターを数倍サイズに拡大する予定でいる。
三菱ふそうトラック・バス www.mitsubishi-fuso.com/content/fuso/jp/index.html
マイクロソフト・ホロレンズ https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens