得意の小型車づくりで取り回しやすさが光るスズキeビターラ

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2025年9月に国内発表されたeビターラはスズキが開発した同社初のBEV(電気自動車)だ。BEVの先進感とSUVの力強さを兼ね備えたBセグメントのクルマで、新開発のBEV専用シャシーが初採用されている。

●Xグレード(2WD/49kWh):399万3000円
●Zグレード(2WD/61kWh):448万8000円 <上記写真>
●Zグレード(4WD/61kWh):492万8000円

『ハイテク&アドベンチャー』をテーマに造形された外観には六角形が多用され、多面体構造のゴリゴリしたルックスを身にまとっている。なかでも押し出し感の強いフロントマスクと立体感あるリアフェンダーは注目ポイントに挙げられ、後者は高いプレス精度と技術の賜物でもある。
前後バンパーとドア下部、ホイールアーチは無塗装樹脂のガーニッシュで覆われ、SUVらしい出で立ちを見せる。外観デザインの開発関係者は「BEVのメインストリームはクリーン&シンプル。それに対してeビターラでは力強さと骨太感を狙った」と説明する。

インテリアではインパネ正面から左右ドアへと続くブラウン仕立てのソフトパッド、1枚のガラスで覆われた10.25インチのメーターパネルと10.1インチのインフォテイメント画面が目を引く。「メーターパネルは遠いほうが見やすく、逆にインフォテイメント画面は近いほうが操作しやすい。相反する2枚の画面を一体に仕上げる点で苦労した」と内装デザイナーは振り返る。

メーターパネルは3パターンに切り替え可能で「円の位置を変えることで明確に異なるデザインを用意した」という。いずれのパターンもADAS画面が大きく表示されて回生時のブレーキランプ点灯とターンシグナル点滅も再現。

シートヒーターとステアリングヒーターのスイッチ、12色に変えられるアンビエント照明の切り替えなどはインフォテイメント画面に含まれていて運転中の操作は難しい。しかし、少なくともこれらの項目は音声で操作できることが確認できた。近年はGoogleの音声認識機能を採用してアウトソーシングするメーカーが増えているが、スズキは今後も自社で手がけていくという。

3種類の表皮が組み合わされたシートの座面は硬め。上級グレードの運転席には電動調整機能が標準装備されている。
後席のフロアとヒップポイントは適正な距離に設計されているため、BEVにありがちなヒザが浮いてしまう体勢は避けられる。ただし、ヘッドクリアランスは最低限にとどまっていて身長170cmのオトナだと髪の毛が天井トリムに触れてしまう。

ラゲッジスペースにはトノボードが装備されている。リアシートは左右別々に160mmスライドするため、20度のリクライニング機構と相まって自在にアレンジできる。中央部のみ前倒しできるアームレストスルーも採用。
ラゲッジ床下には充電ケーブル(一部メーカーと違って標準装備)やパンク修理キットを収納できるサブトランクが用意されている。二つ折りのフロアボードを起こした状態で固定できるのも便利だ。

電気モーターで走るeビターラには出力特性を『ノーマル』『エコ』『スポーツ』に切り替えられるドライブモードと、アクセルペダルから足を離した時の回生力を3段階もしくはOFFに変えられるイージードライブペダルが備わっている。どちらも電動車に不慣れなユーザーが違和感なくスムーズに運転できるよう、顕著な違いは抑えられていて差異は少ない。
当然、アクセルペダルを踏み込めばBEVならではのシャープな加速を体感できる。

BセグメントのBEVでは珍しい前後ツインモーターの4WDモデルが設定されている点もeビターラの特徴だ。加速時には前後トルク配分が約50:50に固定されるが、路面状況や操舵状況に応じて配分は変わる。
さらに、空転する車輪を制動して接地輪に駆動力を伝えるトレイルモードも用意されているため、ラフロードでも一定の走破性を発揮するに違いない。
参考までに、バッテリーにはBYDグループのリン酸鉄リチウムイオン電池が使われている。

2WD(前輪駆動)モデルと4WDモデルの重量差は100kgで、後者のほうがドッシリと構えた印象は強いが、大きめの入力に対して底付き感があり、ピッチングが気になる場面もあった。対する2WDモデルは相対的に軽さを感じられるが、そのぶん上家(車体)の揺れが出がち。ロードノイズは気にならず静粛性は良好なので、サスペンションのセッティングやタイヤサイズを見直すことで乗り心地は改善されるのではないだろうか。

5.2mの最小回転半径による取り回しやすさが光るeビターラの具体的な販売目標台数は公表されていないが、国内のBEV市場で存在感を放つことができるか、目が離せない。

主要スペック(Z・4WD)
●全長×全幅×全高:4275mm×1800mm×1640mm
●ホイールベース:2700mm
●最小回転半径:5.2m
●車両重量:1890kg
●乗車定員:5名
●パワートレイン:電気モーター(前:128kW/193Nm&後:48kW/114Nm)
●バッテリー容量:61kWh
●一充電走行距離(WLTCモード測定値):472㎞
●駆動方式:4WD
●サスペンション形式:ストラット式(前)/マルチリンク式(後)
●タイヤサイズ:225/55R18
●税込み価格:492万8000円(オプションを含まない)

https://www.suzuki.co.jp/car/evitara/

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