https://www.fsa.go.jp/singi/singi_zidousya/siryou/20250110/02_150.pdf
損害保険協会が公表した、自賠責の経費計算基準見直し結果。
5ページには、今回の見直しに乗じて、151億もの巨額の経費を上積みし、302億円も計上しようとしている項目があります。
それは「件数割換算係数」です。
この係数は巨額の損保の会社経費を「件数割合」を用いて自賠責に割り振るためのもの。この係数を適用する費目は、交通費、通信費、印刷費、雑費等。このうち最も金額の大きい雑費は損保本社の経費で、事務委託、調査委託、不動産外注等の支出です。
そもそもこの係数は根拠不明のまま長年10%で計上されていました。損保協会は今回の見直しで、係数を倍の20%に引上げました。
この係数は、損保の保険契約件数に自賠責の「件数」が占める割合の、34.3%が計算のベースになっています。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_zidousya/siryou/20250117/01_151.pdf
ですが、損保の保険商品と自賠責は全くの別物です。政府の強制保険である自賠責と、意向把握や顧客本位の商品説明に時間をかける損保の商品は、営業方法も価格も契約手続もすべてが異なっています。
根本的に異なるものであるのに、自賠責の「件数」が占める割合34.3%をベースに算定する、この係数そのものが根拠がないと言えます。
皆様ご存じの通り、強制保険の自賠責は件数が多く、保険料単価が低いです。
「件数割換算係数」はなぜ「件数」の係数で、「元受正味保険料」の係数ではないのでしょうか。
「元受正味保険料」の係数で考えます。
損保協会が公表している種目別統計表(2024年4月~2025年3月)によれば
元受正味保険料は自賠責が666,323、自賠責以外が9,917,832です。(単位百万円)
保険種目別の元受正味保険料割合は、自賠責が6.7%、自賠責以外が93.3%です。
第151回自賠責保険審議会の(補足資料)件数割換算係数の算出方法の方程式によるなら、
「件数割合」ではなく、「元受正味保険料」の割合6.7%を換算係数として算出すると、
件数割換算係数は(元受正味保険料割換算係数)は、わずか1.4%です。
根拠がないまま長年10%で計上されていた件数割換算係数。
係数は元受正味保険料ベースであれば1.4%。
損保協会が今回の見直しを10%から少なくするするどころか、係数を倍の20%に引上げたのは、
統計を都合のいいように悪用し、巨額の経費を積み上げるためと思えてなりません。
元受正味保険料の割合がわずか6.7%の自賠責に対し、20%もの係数を適用し、
302億円もの巨額な経費を自賠責に付け回すのは、見直しとは言えません。
今回の自賠責の見直しを逃せば、少なくとも5年間はこのままです。
赤字と言われる自賠責保険。過剰請求を見直せばすぐに黒字になるはずです。
取材・文/小林 忍(マガジンX旭川支局長)











