ダイハツ小型車の企画から認証までトヨタが責任を負い、ダイハツは開発を受託

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ダイハツが今後の事業の方向性を発表した。
会見に臨んだ井上雅宏社長、星加宏昌副社長は揃って「まずは再発防止を図って消費者の信頼を取り戻すことに注力する」旨をコメントした。
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軽自動車については従来どおり良品廉価をキーワードに掲げ、電気自動車の開発にも取り組む。開発が進んでいた商用BEVは「ニーズが高い」(星加副社長)との理由から、状況を見て開発再開をめざすという。

一方、ダイハツ単独では追随が難しい電動化と知能化を成し遂げるため、小型車においてはトヨタとの連携を深めて開発から認証までトヨタが責任を持つ。ダイハツは委託を受けて実際の開発を担う体制に変わる。「開発の遅れが認証における不正の原因になった」(星加副社長)ため、特にこの部分に注力する。
新興国小型車カンパニーのECCは解消し、5月からは「トヨタ・コンパクトカー・カンパニー」に変更する。
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井上社長は「認証を取得するには各国の安全と環境に関する情報を集め、それに合わせて試作を作って適合させていく必要がある。モデル数と仕向地を掛け合わせただけの数がある」として認証作業の大変さを語った。
raize-300x200ルーミーやライズといったトヨタ向け商品について質問された星加副社長は「我われだけで作りきらないといけない、との使命感が強かった。(今回の件で)グループで助け合って開発していくことが大切と感じた」と話し、プレッシャーがあったことを感じさせるコメントを残した。

経営改革では機能軸および縦割りを廃止し、横連携の取れる組織に再編する。また、統括部長と副統括部長を廃止し、組織を5層から3層にスリム化してコミュニケーションの取りやすい体制とする。
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モノづくりとコトづくりでは身の丈に合った開発日程を取り入れ、それでも遅れが発生した場合には「アンドンを引ける(=声を挙げられる)」体制を整える。そして遅れが発生した場合、一旦立ち止まって開発日程を見直すなど、あるべき姿を追求する。
すでに公表されているように開発試作と認証試作をキチンと分けて開発期間は従来の約1.4倍に伸ばされる。また、会見中に星加副社長が「(開発過程に)関所を設ける」と何度か述べる場面があり、正しい開発方法で進めていくことを力説した。

風土改革においては部門間で人材ローテーションを行い、デジタルツールを活用することで効率化を図るなど運営体制を見直す。ワンボイスのトップダウンと現場から声を吸い上げるボトムアップのベストミックスをめざす。

なお、経営責任を明確にするため、旧経営陣は23年度の賞与を返納する(松林会長、奥平社長、星加副社長は全額返納。それ以外の取締役や役員は10〜50%返納)。

daihatsu_47会見後、井上社長は自身が携わった新興国ビジネスを振り返り、AセグメントやBセグメントのコンパクトカーづくりはトヨタ単独では達成が難しいこともあってダイハツの技術力とノウハウが欠かせないことにも触れた。

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