五感で感じられるプリウスの進化

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3カ月前のワールドプレミアで話題を呼んだ新型プリウスは、まずHEVから発売された(外部充電できるPHEVは3月発売予定)。5代目の商品コンセプトは『ひと目惚れするデザイン』と『虜にさせる走り』で、改良版GAーCプラットフォームと同車初の2Lエンジンが用いられている。
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ポイントのひとつである軽快な加速を実現するため「アクセルペダルを踏んだ時の加速が早く立ち上がるよう、電池を積極的に活用する制御を取り入れた」「より低い回転域からパワーを出せるよう改良した」と同社パワトレ性能開発部の石泉和也さんは説明する。
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こうした作り込みによってルックスに負けない走りを実現できたのは、異例の開発手法にも起因している。同社コンパクトカー・カンパニーの菅野伸介さんは「本来なら関係部署の人間だけに見せるはずのクレイモデルを早い段階で開示し、技術部門のモチベーションも上げてデザインに見合った走りを求めることができた」と振り返る。石泉さんも「モチベーションupにつながっただけでなく、逆に(めざす走りを実現するための)採用技術をこちらから提案できるメリットもあった」と話す。

改良されたプラットフォームは静粛性向上に効いている。「先代の課題として残ってしまったロードノイズを改善するため、侵入経路を断つことに力を注いだ。併せてサスペンション・メンバーも変えてボディに音が伝わりにくい構造とし、塗布型制振剤は乾燥までに垂れてしまう弱点を解消して垂直面にも用いることができた。一般的に静粛性を高めるには遮音材の多用で重くなってしまうが、新型プリウスでは重量増を回避して軽くすることができた」と菅野さんは胸を張る。確かにロードノイズは抑えられており、高速域でも風切り音など他の騒音とのバランスも取れていて静かに感じる。

試乗コースには荒れた郊外路も含まれていたため、19インチタイヤでは厳しく感じるシーンもあったが、サイドビューを精悍に見せることが優先されて起用された。「大径ながら細幅のタイヤを用いて転がり抵抗を減らした。乗り心地については日常域では許容してもらえるレベルだと思っている」と菅野さんは答える。参考までに、後輪にもモーターが設置されたEーFour(4WDモデル)のほうが心なしかマイルドに感じられたが、これは60kg重い車重が良い影響を及ぼしているのかもしれない。

Prius_PHEVPHEVにも2Lエンジンが新採用され、EVモードでエンジンを強制的に止めればCO2を出さずに走れる。まだ具体的な数値は公表されていないが、EV走行距離は先代(最終型のカタログ値は60km)より50%以上も伸びる見通しだという。また、アクセルOFF時の回生度合いを3段階から選択できるのも朗報だ。

Prius_plugin先代PHEVと乗り比べてロードノイズおよびエンジン音が大きく抑えられていることを実感した。とくにHEVモードで上り坂を走った際、先代はエンジン回転数が上がって唸り音に付き合わされることになったが、新型は前出の石泉さんが語ったとおり、回転数を上げずにチカラを発揮する制御に変わっていて「あぁ、いつものトヨタのHEVだな」と感じてしまう唸り音は姿を潜めた。

目下、半導体不足の影響もあって新型プリウスのグレード体系とオプション設定は絞られ、グレード間の装備差も大きめで選びにくさは否めない。部品供給が正常に戻った際には、消費者に寄り添って細分化されることに期待したい。

主要スペック(Zグレード)
●全長×全幅×全高:4600mm×1780mm×1430mm
●ホイールベース:2750mm
●車両重量:1420kg
●パワートレイン:2L直4(152ps/19.2kg-m)&電気モーター(113ps/21.0kg-m)
●トランスミッション:電気式CVT
●WLTCモード燃費:28.6km/L
●駆動方式:FF
●税込み価格:370.0万円(オプションを含まず)

電子シフトやドライブモードの切り替えスイッチが並ぶセンターコンソール。電動パーキングブレーキは使用を重ねていくと経年による引っかき傷が目立たないか心配だ。

電子シフトやドライブモードの切り替えスイッチが並ぶセンターコンソール。電動パーキングブレーキは使用を重ねていくと経年による引っかき傷が目立たないか心配だ。

7インチのコンパクトなメーターパネルはスッキリしているものの、ADAS系のマークが密集していて瞬時に判読しにくい点が惜しい。

7インチのコンパクトなメーターパネルはスッキリしているものの、ADAS系のマークが密集していて瞬時に判読しにくい点が惜しい。

開口部より深掘りされているラゲッジスペースの容量は410L。かさ上げできる床面ボード(2万0350円)とトノカバー(1万6500円)はアクセサリーで用意されている。

開口部より深掘りされているラゲッジスペースの容量は410L。かさ上げできる床面ボード(2万0350円)とトノカバー(1万6500円)はアクセサリーで用意されている。

2Lモデルの補機バッテリーはエンジンルームから荷室に戻された。(写真はカバーを取り外した状態)

2Lモデルの補機バッテリーはエンジンルームから荷室に戻された。(写真はカバーを取り外した状態)

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