SCOOP!! コロナ禍のタクシー・バス「空気清浄機補助金」の不可解

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SCOOP!! コロナ禍のタクシー・バス「空気清浄機補助金」の不可解

コロナウイルス除去効果が示されないデンソー製品を国が押す謎

 

「新常態タクシー」のデモ車

デンソー製空気清浄機装着済み

 

オリパラ期間中に関係者をハイヤーではなく、一般の乗客も乗るタクシーで輸送している話しは皆様ご存知だと思う。これを実施するために全国ハイヤー・タクシー連合会(川鍋一朗会長)は、6月になって日本交通が所有する「新常態タクシー(ニューノーマルタクシー)なるものを国交省の駐車場で披露して、国と事業者が対策に前向きであることをアピールした。

新常態タクシーは、トヨタ自動車の「JPN TAXI」に運転席と客席の間に樹脂製の仕切り板を設けるともに、デンソー(愛知県刈谷市)製の空気清浄機「ピュアミエ」と室内空気の状態を示すモニター(合計金額10万円ほど)を装着したものだ。赤羽国交大臣に視察もしてもらう熱の入れようである。

コロナウイルス除去によって、バスやタクシーなど公共交通の感染リスクを抑えるため、2020年度第2次補正予算では、主にバスに対して空気清浄機やオゾン発生式空間除菌消臭装置(以下、オゾン発生器)の採用を念頭に導入補助制度が創設された。補助金額は製品購入費の2分の1だ。その際、国(国交省自動車局旅客課)は、「コロナを死滅させる第三者機関による裏付け(エビデンス)」を求め、導入する際にその製品を優遇するとしていた。

当たり前である。財政難の今、税金で導入補助するのに、コロナウイルスを殺す効果が証明されていない製品を使わせるわけにはいかない。そうした背景からバスでは、コロナウイルスに効果があるとのエビデンスを示したオーニット(岡山県赤磐市)製のオゾン発生器が多く採用された。

 

製品選択は半額支払う

事業者が決めるべき!!

 

そして今回の第三次補正予算である。総額300億円を超える。三次補正ではオリパラ輸送強化の狙いもあってか、「タクシーの感染症予防対策に重点配分する」(旅客課)との理由からタクシーのコロナ対策に力を込めている。それが冒頭に書いた「新常態タクシー」だ。これにはデンソー製の空気清浄機とモニターが採用されているのだが、デンソー製はウイルス除去に効果があるとしているものの、コロナウイルスの除去性能について明確なエビデンスを示せないでいる(添付参照)。他にも国交省が推奨する製品はわずかにあるのだが、事実上、デンソーの空気清浄機とオーニットのオゾン発生器の2択となっているので詳細は割愛する。

で、本誌取材前までは、「空気清浄機補助金」などとメディアに言わせて、なぜか国交省はタクシー事業者に対して、デンソー製の空気清浄機の導入を後押しているのだ。

詳細はマガジンX10月号(8月26日発売)に書くつもりだが、

  • なぜエビデンスのないデンソー製の空気清浄機を一押しするのか
  • 導入&メンテナンスコストも高額なデンソー製を一押しするのか
  • タクシー3.5万台分もの空気清浄機の予算取りをしているが、中小零細事業者の多いタクシー業界で、補助金が半分出るものの、台当たり5万円のコストをかけてまで、デンソー製の空気清浄機を導入しようとするニーズはあるのだろうか。
  • 三次補正でもバス4200台分の補助金が用意されているが、三次補正ではオゾン発生器はオミットされている。

 

記者の指摘で「デンソー一択」翻す

 

こうした疑問について、本日、8月2日午前に旅客課の幹部に面着取材を行った。回答の要旨は以下だ。

  • 「デンソー製にもエビデンスはあると考える」。

エビデンスがないのに頑なである。

https://www.denso.com/jp/ja/news/newsroom/2021/20210115-01/

001353561">http://www.ohnit.co.jp/company/outline/index.html001353561

  • 「デンソー製のみに絞っているわけではない。他の製品も事業者の要望があれば受け付ける」。

あれっ!?事業者の受け止めと違うぞ。空気清浄機にコロナウイルス除去の効果があるとして、コロナ除去装置は今必要なのだ。それを「補助金申請を急ぐように事業者に要請している」とぬるいことを言う。国の担当者は付け焼き刃の説明に終始した。

  • (ヒヤリング段階では)「タクシー向けにデンソー製空気清浄機3.5万台の要望があった。(指摘をいただいたので)他の製品も要望があれば受け付ける」。

バス4200台分がなぜデンソー製一択なのかについては、明確な説明がなかった。本誌はデンソーに対しても「なぜエビデンスがないのか」と問い合わせを行っている。また、明日、8月3日には、赤羽国交大臣会見で本件について質問するつもりだ。まさにデンソーや全タク連の意向を汲んだかのような国の対応に怪しさを感じるのは記者だけではあるまい。明日も会見後に続きをレポートするつもりだ。

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取材・文/神領 貢(マガジンX編集長)

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写真はJPN TAXIの一例。

 

 

 

 

 

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