6月のワールドプレミア以来、高い注目を集めてきたランクル300が国内でも発売された。税込み価格は510.0〜800.0万円。
300系の開発テーマは「信頼性・耐久性・悪路走破性を進化させつつ継承」「世界中のどんな道でも運転しやすく、疲れにくい走りを実現」。
これを実現するためにラダーフレーム構造のGA-Fプラットフォームが新開発された。最新の溶接技術が活用されて先代よりも剛性は20%アップ。ボンネットフード、ルーフ、前後ドアにはアルミが用いられて軽量化。また、パワートレインは後方に70mm、下方に28mm移動。こうした取り組みによって最大200kgの軽量化と低重心化、前後重量配分の改善を成し遂げた。
チーフエンジニアの横尾貴己さんは「信頼性の確保と軽量化の両立に苦労した。軽くするにはパーツの板厚を薄くする必要があるが、一方で信頼性も保たなければならない」と開発を振り返る。
前輪ダブルウィッシュボーン、後輪トレーリングリンク車軸式のサスペンションは新開発品で、アーム類の配置を見直すことで安定した車両姿勢とタイヤの浮きづらさが改善された。
油圧式が継承されるパワステには電動式の操舵アクチュエーターが組み合わされ、操舵支援機能の追加を実現。
駆動力、サスペンション、ブレーキ油圧が統合制御されるマルチテレインセレクトは6つのモードから選べる。今回のモデルチェンジではH4(ハイレンジ)でも使用可能になり、各種センサーが路面状況を推定して駆動力を最適化するAUTOモードを追加。
パワートレインには415ps/650Nmの3.5L-V6ガソリンターボ、309ps/700Nmの3.3L-V6ディーゼルターボから選択できる。トランスミッションはどちらも10速AT。
「排ガス規制もあって200系ではディーゼルをドロップせざるを得なかった。しかし、プラドで復活させたディーゼルが好評で、300系で設定する方針の後押しとなった」(横尾さん談)という。
全長(4950mm)やホイールベース(2850mm)、アプローチ(32度)およびディパーチャーアングル(26度)などは先代と同じに設定されてオフロード走破性を踏襲。
室内では3列目シートが左右はね上げ式から床下格納式に変更されて使い勝手が高まった。一部グレードには前倒しと復帰が電動で行える機能も備わっている。また、快適温熱シートとムレを防ぐシートベンチレーションはフロントシートに加えて2列目シートにも設定。このほか、12.3インチのタッチスクリーン(オプション)、ハンズフリー電動ハッチゲート、指紋認証プッシュ式スタート(トヨタ初採用)など、見どころは多い。セーフティセンスに含まれるプリクラッシュ・セーフティは昼夜の歩行者、日中の自転車、右左折時の横断歩行者、右折時の対向直進車にも対応。
注目度の高い新グレードGR-SPORTには前後スタビライザーが独立して自動制御されるE-KDSSと電動デフロック(前後輪)が装備され、フロントグリルや前後バンパーなど内外装にも専用品が採用されている。なお、このGR-SPORTをベースにした車両でのダカール・ラリー出場は23年以降に予定されている。
トヨタが発売前の成約者に誓約書を求めたことは当サイトでお伝えしたとおり。販売関連の担当者は「大変好評だが、一部で使用者が未確定の受注があるため、販売店で確認中。そのため、受注台数はまだ公表できない。納期は1年以上に伸びているため、短縮に向けた取り組みを検討していきたい」と話す。