日産自動車がAIスタートアップ 「ウェィブ」と組んだ自動運転の勝算

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日産自動車がAIスタートアップ

「ウェィブ」と組んだ自動運転の勝算

 

日産自動車がイギリス・ロンドンに本拠を置くAIソフトウェア開発スタートアップの「Waybe(アレックス・見台CEO 以下ウェイブ)」と、自動運転分野で協業することを発表した。ウェイブ社はソフトバンクが支援している。
https://group.softbank/philosophy/dreams/transportation-and-logistics/wayve

以下は12月10日、都内で開催された提携会見の発言要旨。
ケンダルCEO(ウェィブ)
プロパイロット搭載車に2027年からウェイブAIドライバーソフトを組み込んだ車両を市販する。当社のAIは安全を最重要視している。世界中のお客様に届ける。熟練ドライバーのように冷静に慎重に運転する。9月に東京で走った。

エスピノーサ日産社長
ウェイブ社のAIドライバーソフトを搭載することで合意した。日産のグランドパーセプション技術(次世代運転支援技術)、プロパイロット技術と融合させる。幅広いソリューションを提供する。高度な自動運転をプレミアムクラスから普及車型ゴリーに普及させていくつもりだ。2027年に国内市販モデルに搭載する。

質疑応答(エスピノーサ社長とケンデルCEOそれぞれの発言は便宜上分けていません)。
Q 3D地図とAIの違いは?
A  量産マーケットに対応するAD(自動運転)2.0を市販車に搭載する。AIはインターネットから直接学習する。多様なソースを使ってシステムを訓練している。
Qなぜ日産と組んだのか?
A 1年間の実験で信頼関係を作れた。日産のオペレーションの速さがあった。ただし、契約は独占的なものではない。今回の提携はパイオニア的な瞬間で嬉しく思っている。
Q 2027年度にどんな会社になっているのか?
A インテリジェント技術で先頭を走っている。価値あるものを短期間で開発し提供する。運転支援技術は皆さんのために提供するもの。
Q どうユーザーに提供するのか?
A 様々な体験価値を求めている。車内で使う時間を運転以外のことに使いたい。幅広いオプションを提供する。
Q ウェイブの強みは何か?
A 10年前から取り組んでいる。AIの可能性に世の中が気づいたのはここ数年のこと。当社の優れた技術者が長らく情熱を待って取り組んできた。マスマーケットにアフォーダブル(手ごろな価格)に提供する。
Q 現在のサプライヤーとの関係は?
A ハードウェアの面では協業できる。商業的な条件や技術力で変わってくることはあるが、それは通常の取引きと同じです。
Q 仕向地の制限はあるのか。
A できるだけ多くの地域に出したい。まずは日本、アメリカから展開したい。
Q 日本の規制について。
A  政府との対話は非常に建設的だ。横浜、銀座で乗ってもらった。今後、神戸でも試乗してもらう予定。短期間で市場投入できるよう支援してもらえると思っている。
ハンズオフのレベル2から始め、レベル3.4にアップしていく。27年に安全でスケール(量産)に対応できる市販車を提供できると思っている。
Q どのくらいのシェアを見込んでいるのか?
A ホンダとは協業について話し合いを続けている。何がどうなるか分からないが、低価格帯から高級車まで、さらに多くの仕向地に出したい。お客様がこの技術を選んでくれる可能性は高い。2030年頃には自動運転技術は進んでいるだろう。その先端を走り続けるつもりだ。
Q 「E to E(エンドツーエンド)」の課題について。
A  東京で走行したが、スムーズな自動運転ができた。システムが学習し、知識を得て圧縮し、効率的に活用できた。安全で法規に基づいたものだ。「セーフティ バイ デザイン」として、設計段階からセキュリティ対策を組み込んでいる。
ハンズオフ(レベル2)、アイズオフ(レベル3) ドライバーズオフ(レベル4)と段階を進めていく。日産とウェイブは 開発に対するアプローチ、考え方が調和している。「人のような体験」ができなければならない。

会見後に日産自動車で長らく自動運転開発を引っ張る「AD/ADAS先行技術開発部長の飯島徹也さんと話した。飯島さん自身がウェィブ社との関係を深めるや周りを果たしたことがうかがい知れた。

取材・文・写真/神領 貢(マガジンX編集長)

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