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【ポルシェ911カレラGTS】
これは正常進化か、否か。
ポルシェ911にもついにHEV(ハイブリッド・エレクトリック・ビークル)が登場した。2019年に同社はボクスター/ケイマンの次世代モデルにHEVとBEV(バッテリー・エレクトリック・ビークル)を設定して、911系にもこの流れを波及させる計画を立てた。しかし、BEVの販売不振から先ごろ計画の修正を発表し、911系のBEVは「ない」と言い切った。911はHEVが中心となるのだろう。日本での車両価格が2400万円級の911 HEVはまだ量産初年度だから、今後も改良が続けられるだろう。はたしてこれからどんな方向へと911は行くのだろうか。
追加70㎏のHEV
エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) RR(リアエンジン・リアドライブ)を継承する911にHEVが設定された。搭載ICE(内燃機関)は3.6ℓ水平対向6気筒で、電気モーターは変速機に内蔵し、電動ターボチャージャーを備える。ポルシェの呼称は「T‐ハイブリッド」だ。パッケージングは通常版の911とほとんど変わらず、911カレラとの比較では重量増を70㎏に抑えている。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) 皆さんに乗ってもらった仕様は911カレラGTSの「T‐ハイブリッド」だ。8速PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング=デュアルクラッチと同義語)に電気モーターを内蔵し、駆動システムとしての最高出力は398kW(541ps)、最大トルクは610Nm(62.2㎏-m)。車両価格は2379万円。試乗車はウチの店のお客さんで、オプションを400万円分ほど選んでいるから購入価格は2750万円だ。オーナーはクルマと一緒に腕時計も注文して、それが180万円だそうだ。まあ、お金持ちにしか買えないクルマだが、オーナーは「このクルマをどう見ていいのかよく分からないが、期待からは外れている」と言っている。
元部品メーカーのエンジニア(以下=部) 3.6ℓの水平対抗6気筒のICEで車両重量は1620㎏。電動機構を追加した分はほかで重量削減しています。通常の12V(ボルト)バッテリーは重たい鉛酸電池ではなく、HEV系に使われているLIB(リチウムイオン2次電池)です。ターボは左右バンク独立ではなくシングルターボで、しかもツインスクロールではないシングルスクロールの電動ターボです。ここも重量対策だと思います。通常、HEV化すれば100㎏増は覚悟しなければなりませんが、よく抑えています。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) 最高速312㎞/hは日本の高速道路では味わえない。タイヤが減るのを覚悟で、つねに新品タイヤに交換できるだけの金銭的余裕のある人がサーキットへ出かけたとしても、富士スピードウェイのホームストレートで250㎞/hを体感するのが精一杯だろう。真面目に考えれば、「一体どこで乗るんだ?」というクルマだ。アウトバーンの速度無制限区間と、直線の長いニュルブルクリンク北コースが近くにあるドイツ在住の人なら日常的に楽しめるが、日本で買う場合は「私はポルシェを所有している」という満足感と、アクセルペダルを踏み込めば断然速いという周知の事実への投資だ。
自動車業界の事情通(以下=通) ポルシェはブランド単独では販売台数が少ないから、EU(欧州連合)の企業別CO2排出量平均の数値を積極的には公表していない。フェラーリはポルシェよりも販売台数は少ないが、それでもBEVを来年半ばには出してくる。ポルシェは2019年にHEVとPHEV(プラグイン・ハイブリッド・エレクトリック・ビークル)を使いながら、最終的にはBEVを目指すという意思表示をしていたが、つい最近それを撤回した。
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