サンルーフとパーテーション・ネット追加のマツダCX-60特別仕様車はナゼ22万円も高いのか

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国内発表から2年半が経過したCX-60に改良が施され、商品力アップが図られた。

スタビライザーが省かれた後輪サスペンション

手直しでは乗り心地の改善をめざして前後ダンパーの減衰力が見直された。また、後輪サスペンションはバネ定数、バンプストッパーの特性、クロスメンバーのブッシュ特性が変更され、スタビライザーを簡略化。
そもそも大径タイヤを履いていてバネ下重量の重いSUVに滑らかな乗り味を求めるのは酷でもあるが、開発関係者は「SUVのマーケットが拡大し、(以前よりも)さまざまなニーズがある」とユーザーの多様化を説明する。
強い突き上げが減って多少の柔らかさを伴うテイストに変わったが、ゆったりとした揺れを伴うユラユラ感が顔を覗かせる場面もある。やはりCX-60はハンドリングに重点を置かれたドライバーズSUVと捉えたほうが「こんなハズじゃなかった」と納得できるかもしれない。

特別仕様車「Trekker」(552万7500円)にも注目したい。専用設定されたジルコンサンドMのボディカラーに目が行きがちだが、パノラマ・サンルーフ(12万1000円相当)とパーテーション・ネットも特別装備されている。ただ、これで22万円アップは高すぎるのでは⁉︎と感じる人も多いはず。

しかし、よくよく聞いてみると、このモデルには試験的な試みが織り込まれているのだ。ベースは直6ディーゼルのMHEVだが、モーター走行中のエンジン再始動をISGではなく、セルモーターで行っているという。再始動には大トルクが必要で、ISGでEV走行中はその仕事量を賄えるだけの余裕をキープしておく必要があった。
だが、その役割をセルモーターに託せばISGでEV走行できる領域(とくに街中での速度域)が広がり、結果的にWLTCモード燃費は20.9km/Lから21.4km/Lに向上、いち早く2030年度燃費基準を達成している。ちなみにセルモーターは容量確保のために非電動のディーゼル車用が流用されている。
一方で走行中にセルモーターが稼働するため、音と振動(NVH)に違和感を覚えるユーザーもいるかもしれない。特別仕様車で試験的に導入されたのは、こうした理由に基づいている。あいにく今回は試乗できなかったので、どの程度のNVHを伴うのか、改めて確認したいところ。

CX-60はデビュー当初、ディーゼルMHEVの販売比率が高かったが、現在は非電動のディーゼル車が約半数、PHEVを含むガソリン車が約20%を占めているという。目下、パワートレインごとに装備が微妙に異なるグレードが乱立していて選びにくい点はマツダ車に共通した難点で、これらの整理に取り組めば消費者にわかりやすいだけでなく、生産効率が上がってマツダ自身にとっても有益に違いない。
https://www.mazda.co.jp/cars/cx-60/

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