SCOOP!!トヨタ販社11社目
モビリティ富山で修理不正発覚!!
これで何社目だろう。トヨタ系列ディーラーによる事故修理過剰請求問題だ。本誌が最初にトヨタ系列ディーラーの事故修理過剰請求問題を報じたのが、2022年末に発売した2023年2月号だ。不正を働いていたのはネッツトヨタ茨城だった。早速、本記事を見たトヨタ自動車国内販売事業部が動いた。2023年2月には系列販社各社に対して同様の不正事案がないか、社内調査を命じた。
本誌記者のスクープとも相まって、その後、カローラ新茨城、カローラ静岡、沖縄トヨタ、大阪トヨタ、札幌トヨペット、カローラ札幌、ネッツトヨタ千葉、ネッツトヨタ富山(以下ネッツ富山)と相次いで修理不正が発覚した。
3月には本誌が旭川トヨタで事故修理時に封印を使い回す不正を行っていたことを公式ニュースサイトで記事にしたものだ。6月号が発売される頃には同社に直接取材しているはずだ。ここまでで合計10社において事故修理不正を行っていたことが分かっている。
そしてトヨタモビリティ富山(富山県富山市・品川祐一郎社長、以下モビリティ富山)である。同社は地場の有力販社だ。2021年(令和3年)1月に、富山トヨタ自動車、富山トヨペット、ネッツトヨタノヴェルとやまを統合し、トヨタモビリティ富山として再出発している。2022年(令和4年)4月にはトヨタレンタリース富山も統合した。
そのモビリティ富山でも事故修理不正が見つかった。同社の調査によると、2022年1月から2023年12月までの2年間に修理した7659台のうち53台で過剰請求していたことが分かったのだ。それ以前の記録は残っていないが、余罪はもっとあると考えて良いだろう。
53件の過剰請求のうち損保協定分が38件、自費修理分が15件。過剰請求の総額は「57万円ほどになる」(品川祐一郎社長)と説明する。
先述したとおり、昨年2月にトヨタ自動車が系列販社に対して一斉調査を呼びかけた際、同社は「過剰請求はない」と報告していた。が、本誌がネッツ富山の不正事案を報道した段階で、「未調査だった外注先についても確認を行った」(事情通)ことで事態が発覚したのだ。社内調査の限界を露呈した形だ。
- 外注先は油性塗料で作業したと報告していたのに、モビリティ富山の見積もり担当者が内製工場で使用している単価の高い水性塗料の金額でお客様や損保に見積りしていた。
- モビリティ富山と外注先で共用している見積もり請求システムにおいて水性塗料や高機能クリア塗装しか使用部品の選択肢がない状態だった。そのため実際には油性塗料や普及タイプのクリア塗料を使用していたのに、単価の高い塗料代と作業代金を請求していた。
品川社長は記者の取材に対して、「疑われても仕方がないが、事務上のミスであり故意ではない。責任は管理監督する立場の経営者にある」と話す。
記者は4月上旬に品川社長と直接会って詳細を聞いてこようと思う。品川社長は記者の面談依頼を電話取材のその場で決めてくれた。第一印象の範囲だが、企業のリーダーとして信用できる人だと感じている。
取材・文/神領 貢(マガジンX編集長)
https://toyota-mobi-toyama.jp/corporate
社屋写真は同社HPより抜粋。