ボルボ最小のBEV(電気自動車)にあたるEX30が日本上陸を果たした。
すでに販売されているXC40のBEV版や21年にリリースされたC40と違い、EX30にはBEV専用の新開発アーキテクチャー「SEA」が初採用されている。
EX30の生産から使用におけるライフサイクル中のCO2排出量は同社史上もっとも抑えられている。アルミの25%、鉄の17%、プラスチックの17%はそれぞれリサイクル素材でまかなわれている。
内装ではシート表皮がウール30%とリサイクル・ポリエステル70%のブレンド素材で、インパネの化粧ガーニッシュは一年草の亜麻、フロアマットは使用済み漁網から作られている。
メーターパネルは中央の12.3インチ画面に含まれていてコックピットはシンプルに仕上がっており、GoogleマップとGoogleアシスタントは5年間、無料で使える。前方にスピーカー代わりのサウンドバーが内蔵され、ステアリングホイールはスクエアに成形。
クルーズコントロールのスイッチを兼ねるシフトレバーはステアリングコラム右側に設置されている。キーを認識することで自動的に電源が入るため、スタート&ストップボタンは存在しない。後退時には車外でメロディが流れる。
アームレストにはプッシュオープン式のカップホルダーが組み込まれている。また、ハーネス類を減らす目的でパワーウインドウスイッチも内蔵され、前席ウインドウと後席ウインドウを切り替えて操作する方式に仕立てられている。
安全面ではフロント左右のレーダーとドライバーの顔の向きを監視するカメラが新採用されている。前者のおかげで狭い路地から出る際にも必要に応じて警告や自動ブレーキが作動する。一方、後者は脇見や疲労蓄積による集中力の低下を警告する。このほか、後方から車両や自転車が近づいている時にドアを開けるとウォーニングが鳴動するアラート機構、車線変更をサポートするレーンチェンジアシストも装備されている。
まず国内導入されたのは後輪モーターと69kWhのリチウムイオン電池が搭載された仕様で、税込み価格は日産リーフの上級グレードやテスラ・モデル3のエントリーモデル、日産アリアなどとバッティングする559万円に設定。65万円の補助金を受け取れば、車体サイズの近いレクサスLBXと同等の価格で買える。
BEVならではの爽快な発進加速を味わえることは言うまでもない。何しろ0→100km/h発進加速タイムは5.3秒で、クルマのキャラクターを考えるとオーバースペックなほどだ。
試乗して感心させられたのは、BEVで不利になりがちな静粛性と乗り心地が良好だったことで、オプションの20インチタイヤを履いていることを忘れさせるほどだった。ただ、アクセルペダルに足を載せた瞬間にモーターの動力が立ち上がる際、スイッチのようなピックアップ感が残っているため、この辺りが洗練されたら商品力はいっそう高まるだろう。
小さいながらも、フロントノーズにも収納スペースが用意されていてリッドの裏側にはエルクの絵が刻まれている。内装にも隠れキャラとして配されているので、実車で探してみよう!
<主要スペック>
●全長×全幅×全高:4235mm×1835mm×1550mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1790kg
●パワートレイン:電気モーター(272ps/35.0kg-m)
●WLTCモード航続距離:560km
●駆動方式:後輪駆動
●税込み価格:559.0万円(オプションを含まず)