日野自動車が販売再開に向けて準備を進めている。生産再開に関する7月中旬の一部報道を受け、本誌も日野自動車に確認した。以下だ。
「生産再開は事実です。今回の生産再開は、再認可・再出荷の目途が立たない状況ではありますが、① 弊社製品をご注文頂いているお客様に出荷再開後速やかにお渡しできる準備をしておくこと② 今回の稼働減による取引先様への影響とご懸念を最小限にすること
を優先と考え、一部生産を再開するものです。今回再開するのは生産のみで、出荷については認可の再取得が完了するまでは再開いたしません」(広報部)との説明だった。
これについて国交省自動車局審査・リコール課にも確認した。「生産再開自体に問題はない。国は申請をうけた上で審査をする」と説明した。
日野自動車社内では同様の不正が再発しないよう、「認証プロセスの見直しを行った」(同社事情通)という。トヨタ自動車からも生産関係のスペシャリストが応援に駆けつけたようだ。
すでに販売されたクルマのリコール改修は進んでいない。リコール発表直後は、ユーザーからの問い合わせも多かったようだが、「今は落ち着いている」(別の消息筋)の状況。「お客様がクルマを使えない状態になっているわけではないので、なかなかディーラに入庫してもらえない。どうしても車両の稼働が優先してしまうようだ」(同)の声が聞かれる。「排ガス不正についてあまり興味がない」(同)のだろうが、日野自動車は法令で定められた限度を超える排ガスを撒き散らし続ける車両の改修こそ急がねばならないのではないか。
生産は再開されたものの、販売再開の時期に関してはいまだ不確定だ。「(申請書の)再提出は済んでいて国交省には受け取ってもらえている状況だが、9月以降に騒音法規対応、2024年には安全法規対応が迫っている。販売中止したモデルを燃費記号だけ変えてそのまま売るとはならないはず」(同)との情報がある。なお、記者の質問に対して、審査・リコール課は「7月の第三者委員会の結論を待って判断する」としている。情報と一部矛盾しているのではないか。
「大型車のA09エンジン(9L直6)の不具合が問題になっている」(同)との未確認情報もある。