国際港・横浜の多様な観光スポットを結ぶ周遊型連節バス「横浜Bayside Blue」

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国産初のハイブリット連節バス・・・国内3都市の臨海部を走る、車体内外のグラフィックデザインに触れる

 

緊急事態宣言が解除されたとは言え、依然として続くコロナ禍のなか、庶民の日々の足となっているバスも路線・観光を問わず、運行ダイヤの見直しや台数整理などを強いられている。そのなか通勤や通学はじめイベント等の大量輸送に対応する「国産連節バス」が登場している。従来わが国においては道路事情や法規面の制約などで、この分野で先行している欧州バスメーカーによって国内数か所で運行されてきた。しかし国産メーカーも技術的に開発能力があり、実現が待望されてきた。

その回答例として、いすゞ自動車と日野自動車の共同開発による「ハイブリッド連節バス」が、2020年5月に登場している。車両概要等はすでにバス専門誌等で紹介されているのでここでは省き、今回は東京・横浜・神戸の3都市で運行されている連節バスの車体内外におけるグラフィックデザイン(塗装など)について触れてみよう。

3地区の共通点となるのが「ともに港湾都市で、再開発が進む臨海部(ウォーターフロントエリア)を運行」するもの。

運行エリアにある事業所や商業施設・集合住宅等の利便性や移動性を担う路線バス機能とともに、週末や休日には臨海部の施設や観光スポットの利用など、遊覧バスの二面性を兼ねる。当然3都市の地域性とともに、運行事業者である東京都、横浜市、神戸市それぞれの意向が車体内外の塗装表現である“グラフィックデザイン”に反映されるところとなる。それぞれの地域性や運行エリアを考慮した、車両内外のグラフィックデザインに触れることができる。

そのグラフィックデザインを担当したのが、交通・輸送分野のインダストリアルデザインを担う「GKデザインデザイングループ」(東京豊島区・田中一雄代表取締役社長)で、グループ各社の詳細は3都市紹介後に。

 

 

横浜Bayside Blue

国際港・横浜の多様な観光スポットを結ぶ周遊型連節バス「横浜Bayside Blue」

 

国際物流の主役となるコンテナ船のみならず、国内外のクルーズ客船も入港する国際港湾都市「横浜」。かつては大きな敷地を占めていた造船所跡地の臨海部も、今日“みなとみらい地区”として大きく発展。高層ビルをはじめ、国際展示場やホテル群、そして異国情緒を感じる赤レンガ倉庫や中華街など、新旧時代の建物が点在する。そのなかを走るのが横浜市交通局が運行する連節バスの「ベイサイド・ブルー・Bayside Blue」だ。20年7月から運行されている。起点はJR線はじめ3つの私鉄各線が乗り入れる横浜駅東口から、今後再開発が予定される山下ふ頭までの往路(5.95km)と復路(6.45km)の、コースを分けてウォーターフロントエリアのスポットを巡る。

同市交通局ではすでにJR桜木町駅前を起点に、連節バスルートと一部重なるレトロ調の内外装仕様の「あかいくつ」が運行されているとともに、19年10月にオープンした商業施設とホテルが備わるクルーズターミナルの“横浜ハンマーヘッド”を結ぶ「ピアライン」の路線が運行されている。また今年4月には桜木町駅前と臨海エリアを結ぶ“横浜エアキャビン”のロープウェイも開通するなど、空中からもみなとみらい地区の眺望が楽しめる。

これら2つのバス路線が桜木町駅を起点とするも、市内最大の利用者数が多い横浜駅を起点とすることで、ルートエリアへの利便性と観光スポット豊富な臨海部の回遊性と快適性を実現したとのこと。

 

+Bayside  Blueのデザイン展開・・・国際港湾都市らしさを表現した、“進取で大海原を進む気概”のメタリックブルーを採用

 

(デザインテーマ)

港まち横浜を象徴する乗り物として、大海原を旅する航海のような期待感と高揚感を「大洋のきらめき」感で演出するとともに、日本最初の公園である山下公園やみなとみらい地区に代表されるモダンな景観など、人と港まちの関係をリードしてきた横浜らしい「新しくあり続ける進取の気概」の表現を目指したとのこと。

 

(グラフィック展開)

車体の外観色は沿道のシンボルからーとなる濃いめの“メタリックブルー”を採用。全長18mの単色カラーの連節バスが「色の塊」として、横浜のまちに美しく映えることを意図したとのこと。シンボルマークやロゴタイプもシンプルな白色とし、地色のブルーとのメリハリ感を表現。シンボルマークには連節バスならではの前後の車体をイメージさせる“二つの波”を表現している。

 

(カラー展開)

一見ではブルーカラーの車体色の印象だが、国際港湾都市・横浜の都市イメージにつながる海面の深遠感や水面に映る臨海部の建築群の表情を具現化した、「マットメタリックブルー」という高級乗用車と同等のカラー設定をしている。ウインド部分の熱線吸収ガラスとともに、柔らかい光沢感と景色の映り込みによって変化する奥深いブルーのグラデーションを実現している。

運行区間が横浜の都市イメージとなる臨海エリアもあり、車体はじめ停留所に施したカラー設定やシンボルマークについても周囲の景観と程よく融合するものにしたとのこと。

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写真は横浜市交通局提供。

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