横浜ゴムの流体音響シミュレーション技術がHPCI利用研究課題の優秀成果賞を受賞

スポンサーリンク
2016110813tr001_2

横浜ゴムと宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所による「次世代低騒音タイヤ開発に向けた高精度流体解析とデータマイニング」が、HPCI(革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ)一般利用枠研究課題の優秀成果賞を受賞した。

HPCIとは文部科学省が構築を進めている「京」と全国の大学や研究機関に設置されたスーパーコンピューターを高速ネットワークで結び、革新的な共用計算環境を実現する基盤システム。HPCIシステムを運用する高度情報科学技術研究機構では、1年間に同システムを利用して実施された一般利用枠研究課題の中から特に成果が認められた課題を優秀成果賞として表彰しているという。2015年度は全134課題の中から9課題が優秀成果賞に選ばれた。

今回受賞した研究は2014年に発表した流体音響シミュレーション技術を発展させたもので、東北大学サイバーサイエンスセンターのスーパーコンピュータ(SX-ACE)を用いた大規模計算によってタイヤ表面の溝の深さや広さなど形状の違いが音響波(騒音)に及ぼす影響を明らかにしたそうだ。

さらに研究を進めることで音響波の低いパターン設計が可能となり、次世代低騒音タイヤの開発が期待できるという。今回の受賞ではHPCI の大規模計算システムを使用するにふさわしい課題であったこと、系統的で信頼性の高い解析がなされており、直接的にタイヤの設計開発に役立つことが評価された。

流体音響シミュレーション技術は横浜ゴムと宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所の共同研究により、世界で初めて限りなく実スケールに近いレベルで路面上を回転するタイヤ周りの空気の渦乱れ構造(乱流)とそこから発生する音響波を捉えることに成功したシミュレーション技術。通過騒音の低減や空力性能の向上に貢献する技術革新が期待できるため、さらなる研究を進めているという。

タイヤ騒音を突き詰め、宇宙航空研究開発機構と共同で流体音響シミュレーション技術を研究開発するとは恐れ入る。今後走行音がさらに静かなタイヤが登場することを期待したい。

 

スポンサーリンク