次世代の動力伝達装置を共同研究するTRAMI
国内乗用車メーカー8社と、トラックメーカーのいすゞ、トランスミッションに強いアイシン・エイ・ダブリュ、ジャトコの11社が参画して、次世代車におけるトランスミッション等の基礎研究を共同で行う「自動車用動力伝達技術研究組合(TRAMI)」が設立された。
自動車メーカー各社は広範囲にわたる次世代車の開発競争に凌ぎを削っている。各社それぞれの経営リソースだけではすべての領域をカバーできないため、協調と競争の考えに基づいて、組めるところは組む形で研究開発分野での負担軽減と開発のスピードアップを模索している。平成26年4月に設立された「自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)」と同様の趣旨だ。
4月に設立されたTRAMIは、本田技術研究所上席研究員である前田敏明理事長のもと、産学官を巻き込み、内燃機関車、電気自動車、ハイブリッド車など、いろいろな動力を搭載した車両に最適な動力伝達装置の基礎研究、応用研究分野に特化して開発を推進する。当初賦課金は2.6億円。
以下は質疑応答の要旨。
共同でやった方が効率の良い領域をやる。会社は成果を得られる。基礎研究を中心に活動している。調達は対象外。
製品開発では遅れを取っていない。駆動系技術は世界トップレベル。欧州の方がDCT技術で先を行っている。
AICEは4年前に立ち上がっている。全地球的にco2削減の視点では伝達の分野がますます重要になってくる。ドイツ、中国に遅れをとる。基礎研究の分野ではなかなか目標を設定しづらい。駆動系の種類が増えてくると対応するのが大変。研究テーマごとには明確な目標設定を行い、それに向けてやっていく。
地域によって好まれる変速機が異なる。どの技術に注力するのかは、各企業が決めること。基礎のところをやる。
基本的には電動化の部分。求められる技術は基本的に変わらない。摩擦抵抗の低減、摩耗抵抗の低減、潤滑など。
現状の資金は企業からの賦課金のみ。部品メーカーの力がないと将来的に成り立たないと考えている。トランスミッションの構成部品は多岐にわたる。近日中にまとめて、10月くらいには具体化したい。
全体的には2.6億円。研究テーマごとに各社均等に負担する。
活動の主体は駆動系の基礎研究の領域。一般のユーザーに直接のメリットはないが、研究が加速する、技術が進むことで、メーカーは製品開発に取り組むことができる。
取材・文・写真/神領 貢(マガジンX編集長)